先日事務所の職員を怒鳴ってしまいました。それはお客様の会社の決算書を担当者が所長に説明しているときです。会社の決算書には社長及び社長夫人からの借入金がある。一方、社長に対して給料を払っています。また社長の奥様も取締役として給料をもらっています。その会社自体は赤字です。私は言いました。
所長「社長の給料をやめて、無理にでも決算書上だけでも利益にしたら、銀行借入金も借りやすくなるんじゃない?」
職員「社長が将来高い年金をもらいたいから、高い給料を払い続けるそうです。」
所長「給料を払っていると、年金や所得税をとられる。所得税だけでなく社会保険料は重い。50万円給料を下げれば、月々13万円社会保険料の負担が減るんだよ。よっぽど得じゃないか。資金が必要だったら、その分社長貸付金を返していけばいいじゃないか」
職員「しかし年金がほしいとおっしゃってますから。」
所長「ばかやろう」
少し冷静に考えてみればわかります。法的な年金というのは若い世代が年寄りの世代に年金を払う。つまり子供が親に仕送りをするのに、国が間に入っているようなものです。人口構成から考えると人口減・加入者減、つまり社会保険料を払う人が減って、一方、受給者増・年金需要増をどうやって調整するかという話です。基本的には今回の年金改正により、根本的な意味では物価上昇さえくれば問題は解決したと聞いています。つまり、非常に単純な話です。払える分しか払わない、という考え方が成立したのではないのでしょうか。つまり、今若い人達が払う保険料で払える範囲内しか年金の受取者側はもらえない、ということを官僚的表現で非常に上手に法案に組み込まれています。
更に、できるだけ年金の支払いは遅くしたい、働けるうちは働いてほしい。これが現在の、働いている人は70歳まで厚生年金を払ってください、70歳以降厚生年金を受け取ってください、という制度でしょうし、70歳が75歳になるのもまた避けられないのでしょう。
ということは、会社の社長のように、ほとんど終身現役で働いていくような方にとっては要は貰えないということです。そのような事がはっきりしているのに、貰えると思って年金保険料を払うこと自体が経済的に合理性がありません。そのことをはっきり伝えてあげればと職員に言ったのですが、職員は全然実感がないようでした。30歳の人にとっては年金は遠い将来、現実味がない世界です。ところが、その会社の社長のように50代の方にとっては身近な問題なのでしょう。しかし、社会保険料として国に入っているお金が減れば、結果的に年金として給付する金額が減っていくということは、何の疑問もない当り前の話です。見えていないのではなく、本当は誰もが直面する少子化社会、年金保険料支払額の減少=年金給付額の減少という、制度のしくみからくる現実を信用したくないのです。給付は保険料が減少すれば当然減少します。この事実を信用しないだけでは問題は解決できないでしょう。現実を見るべきです。特に所得の高い方々、会社社長や医師は将来の年金はないと考えて資産作りに励まれることをお勧めします。
私自身は、将来年金は生活保護的なものに姿を変えていくものだと思っています。
従って社会保険料を払ったからといって自分には返ってこない。そういう風に考えれば社会保険料は税金が名前をかえたものだ。そうなら節税と同じように社会保険料の節約を考えようとなるのでは。。。。。