一般企業にとって一番大きな問題は消費税率が上がった分の値上げが、お客様から受け入れてもらえるかという話です。対事業者に対する売上は受け入れてもらえると思います。
最初に消費税を導入した時は消費税の転嫁を行うよう国が独禁法の運用等を改正する形で強力に推進しました。今回も独禁法の除外規定という形で消費税の価格転嫁を中小企業に掲げて推進するという法案を準備しています。
また、その法律では取引の中で消費税を転嫁させないような行為は違法であることが明記され、各省庁に消費税の転嫁相談窓口や消費税の転嫁に関する調査の権限を与え転嫁をさせない企業の行為を取り締るとしています。このような形になっていますので、対事業者(会社など)への消費税の転嫁は出来ると思います。
なぜならば、事業者は自らもお客様から預かった消費税から仕入れた商品やサービスについてかかって
いる消費税を差し引いて国に納めるという仕組みになっていますので、消費税の値上げを認めても自らの損失は消費税については無いからです。
問題なのは、いわゆる一般消費者に対する消費税率分の値上げです。なにしろ、国は消費税率引き上げによって国(与党)に対する一般消費者からの反発を抑える目的で消費税込みの値段を一般消費者に示すことを法律で命令していました。
スーパーでいえば、店頭では消費税抜きの価格で表示し、レジの段階で消費税抜きの価格の合計額に消費税率をかけるということを禁止していたわけです。
一般消費者は愚かだから消費税率をレジで打ち出さなければ消費税率の増税で値段が上がったことが分からないだろうという、消費税率を意識させないという政策です。あくまでも、一般消費者には、消費税込みの金額で表示するようにしていたわけです。
従って、一般消費者向けに消費税込み値段を上げるということは表面的には単なる値上げにしか見えません。果たして上手く値上げできるのかという事を消費者向けに売上のある会社は危惧しています。
例えば、自動販売機の缶コーヒは以前100円で販売していたものを110円に値上げしましたがこういう事はうまくできるのでしょうか。
更に、8%から10%という消費税率の引き上げが予定されていますので、短期間の間に値段が変わることになります。
どのような価格設定をすればいいのか消費者相手の小売業では悩ましい問題になっています。