消費税の引上げは、前回3%から5%への引上げということを1997(平成9)年に経験しました。その時の経験を活かして次のようなことが予測されています。
[住宅メーカー]
消費者から考えれば、消費税率引き上げは単純に値上げということになります。97年度の消費税率引き上げ前後を見てみますと、96年度の住宅着工件数は前年比9.2%増加、97年度は反動で17.5%減少しました。
消費税率引き上げ後の2年後にあたる99年度には住宅ローン減税の大幅な拡充等対策も打たれましたが、その後一度も住宅着工件数の水準は増税前の数字にまで戻っていません。
ある経済研究所の発表によれば、今回の消費税率の引き上げに伴い2013年度の住宅着工件数が駆け込み需要により6.6%上がる一方、2014年度以降の住宅投資は税率引き上げが無かった場合の比率よりも落ち込み、前年比ベースで見れば2013年度プラス6.6%、2014年度マイナス12.3%、2015年度プラス2.5%、2016年度マイナス4.1%とアップダウンが激しくなると見込んでいます。
また、住宅投資と同様に耐久消費財に対する個人消費も消費税の引き上げ前に駆け込み需要が生じるため、同様な変動をもたらすと予測されています。
つまり、とりあえず来年から再来年にかけては景気が上向き、その後は大幅に悪化するということになるのではないでしょうか。
かつ、住宅投資につきましては、2014(平成26)年4月1日以降完成する物から一律に消費税が8%に上がるのではなく、前回と同様に経過措置が設けられており、2013(平成25)年10月1日以前に契約したもので、2014(平成26)年4月1日以降に完成したものについての消費税は5%、2013(平成25)年10月1日以降に契約したものについての消費税は8%になるとされています。
なお、本体の契約は9月30日以前で、それ以降増築等の変更により増加した場合については、増額部分は8%の税率なっています。
工事といっても単に住宅やビル建築だけに係るのではなく、契約から完了まで相当の期間が要するものが対象になります。
例えば、ソフトウェア開発の請負や測量地質調査等、仕事の完成に長期間を要し引渡しが一括で行われるものに関しても対象になります。
いずれにしても、駆け込み需要とその後の反動による需要の急減による大きな混乱は前回の3%から5%への引上げ後の景気の急速な悪化(銀行や証券会社がいくつか破綻しました)の経験があります。
また、例えばデジタルテレビへの買換えによる補助金の適用によるテレビの売上急増とその後の補助金が無くなった後の急減(シャープやコジマ等の状況)を見れば明らかなように大きな問題が生じますのでこれに対する対応が必要です。
しかし、大きなチャンスでもありますので見逃さないように準備しておく必要があります。