『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』 橘玲
橘玲さんは小説家,お金の常識を説明してくれる人?など色々な見方ができるでしょうが、いずれにしても私が好きな方です。
ここ7、8年だと思いますが、この方の書かれた本は全て読んでいます。そして、それ以前、橘玲さんがおそらく中心メンバーの1人として活躍されいたであろうと思われる時代の「海外投資を楽しむ会」の時からお金の話は好きなテーマです。
特に今回の本は残酷な世界という言葉で表されている平凡な日本人をめぐる経済社会の重苦しさを経済という面からだけではなく、人間学、遺伝学、行動学など私が全く持っていない別の分野の視点から物語のように説明してくれて非常に納得しやすい話です。
学問的には正しくても政治的に正しくないので語られていない話、マスコミからは流れてこない話など、初めて聞く話が多い。
この本の結論、アドバイスに対して賛成の人、反対の人いろいろでしょう。
私がショックを受けた統計上の話をいくつか紹介します。
2割の富裕層と8割の貧困層に世界中が分離する。現在の先進国の人達は全員が世界的に見たら富裕層である。これはインドや中国の貧困層と呼ばれる人達と比べてみれば明解である。
そしてグローバリズム、自由貿易というものが結果的には世界じゅうの人を2割の富裕層の人と8割の貧困層の人とに分けていくのだという事実を極めて納得できる形で説明されています。日本人も中国やインドの貧困層の人件費と同等のレベルになる人が80%にでてくる。
統計的に日本人は安心社会に住んでいるがゆえに極めて重苦しい世界であること、そのため自殺が年間3万人と米国など他の国に比べて多いこと、そして個人主義的であること、逆にアメリカは相互信頼社会であること、リセットが可能な社会であることが述べられています。
「伽藍を捨ててバザールに向かえ!恐竜の尻尾のなかに頭を頭を探せ!」がこの本の結論なのですが、その結論に素直に従うことが出きる人、出来ない人もいるでしょう。
少なくとも私はこの本を読んでかなりものの見方が広がりました。経営者の方へお薦めしたい本です。
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