中流階級の中が2つに別れていく、即ち中流の上が増え、中流の中が減り、中流の下(下層社会と呼んでいるそうですが)が増えるという形に変わっていくことをM字型減少と言うそうですが、私はこれに大変強い関心を抱いています。
なぜなら、アメリカでこの減少は日本より約30年前に起きたことだからです。
『コンピューター社会 ダウンサイジング オブ アメリカ』という本を読んだときには非常に将来に対する懸念を感じました。即ち、中間管理職というところがコンピューターによる管理、例えばEメールなどにより直接トップが見える範囲が広がる、結果として中間管理職が減る、中の上と中の下が増えていくという社会ができ、当然中の上に行く人が中の下に行く人より数が多いという現実のレポートでした。
アメリカであることは日本へも来るので非常に注目して見ていました。
アメリカで起きたことがどこで一番現れたかというと、消費行動です。
即ち、世界一の小売業者はウォルマートと呼ばれています。ここのキャッチフレーズは「Everyday Low Price(毎日低価格)」というものです。ウォルマートの傘下に日本の西友ストアが入りました。
何故ウォルマートはこのように大成長をしたのか。はっきり言えばアメリカの中流階級がM字型になり、それも下層階級(中の下)の人たちが増えたため、中の下の人たち向けの安い商品の販売によって「Everyday Low Price」のウォルマートが勝ち抜いたという形があるからです。
恐らく、日本でもこのような形になるのではないのでしょうか。いかに富裕層と言っても人の数で言えば少ない。人数が多いのは中の下の人たちですから。
中の上に合っているビジネスと言えば今後とも苦戦するでしょう。中の中を狙っていたダイエーなどのGMSはなかなかうまくいかないでしょう。どちらかと言えば、中の下を狙っているコンビニや生鮮食料品の会社などは伸びていくのではないかと思っています。
中流階級層の上と中流階級層の下とに分かれていくのであれば、中流階級の中間層を狙っているビジネスというのは割りが悪い。
従って、中流階級の下の層を狙うパターンのビジネスを展開するのか、もしくは中流階級の上の層を狙ったビジネスを展開するのか割り切った方がいいのではないか。
つまり、私どものお客様と話をするときにどちらを狙っているパターンなのかをはっきり見ていった方がいいのではないかということが今思っている問題意識です。