本書は、財務会計との比較から管理会計の特徴を明らかにし
その考え方を具体的な事例によって説明します。
管理会計の目的を意思決定・業績評価・コスト管理の3つとし、さまざまな考え方、
分析手法の基礎的な内容が紹介されています。
なかでも、以下の内容が分かりやすく、特に参考になりました。
・値下げ要求に対しての意思決定
原価割れであっても、限界利益がプラスならば、売ったほうがよいという意思決定があります。
これは生産能力に余裕があるということが大前提です。
余裕があれば、固定的な費用はいずれにせよ発生するのであるから、
生産能力を遊ばせておく手はないという考え方です。
しかし、余裕がない場合は、生産能力増強のため、追加的コストが発生することを考慮する
必要があります。
また、余裕がない状況は、常に行列ができるような売れっ子の店です。
安値で売ることは正価で売るチャンスを逃すことを意味しますので、機会コストが発生しています。
手余り状態のプライシングは自社の変動費が基準、手不足状態のプライシングは自己の
コスト構造と関係なく、市場の評価で価格が決まります。
・部門別損益計算書の考え方
本社固定費配賦前の部門利益を出すことで、部門の評価ができます。
では、部門利益がマイナスの場合、部門長(店長など部門の管理者)の評価は下がるのか?
それぞれの部門に帰属されるの固定費の中には、部門長に管理可能なものと、
管理不能なものとがあります。
部門長が管理できるのは、管理可能利益までですから、管理可能利益の予算達成率で評価する。
部門別損益計算書の作成手順として、
①費用を変動費と固定費に分け、
②固定費をさらに個別と共通に分け、
③個別固定費をさらに、管理可能性で分ける
が紹介されています。
(紹介者:嘉見)