先日 事務所でお客様を集めてグループ法人税制の説明セミナーを行いました。
あまりにも内容が複雑なので実施が通常の4月からではなく10月から、それまでに税務当局を含めて詳細を詰め広報していくとの話でした。セミナーで説明してもどの程度参加者の方が納得されたのかはわかりません。ただいきなりお客様に話すよりは少し現場の理解が進むのではと思います。
グループ法人税制は 一言で言えば法人税の税金を税率を上げることなく重くする税制です。
社民党の福島党首のテレビ演説で説明していた法人税の税率は下げるが法人税の課税範囲を拡大することにより法人税の税収は、減らしませんというものの一つの形です。
原則として、平成22年10月1日以後の取引について適用されます。
先週末8月13日に国税庁から「平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例」として、グループ法人税制関係に関する事例が公表されています。
法令・通達等において明確にされていない事例に対する課税当局の考え方が示されており、実務を行うに際して会計事務所などの専門家にとっては有用な情報であると思われますが。。。。。
平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例
(グループ法人税制関係)(情報)
* (完全支配関係)
o 問1 完全支配関係を有することとなった日の判定
o 問2 いわゆる「みなし直接完全支配関係」
o 問3 完全支配関係における5%ルール
o 問4 資本関係がグループ内で完結している場合の完全支配関係
* (各制度の概要)
o 問5 グループ法人税制の適用対象法人等の比較
* (受取配当等益金不算入)
o 問6 完全子法人株式等に該当するかどうかの判定
* (寄附修正)
o 問7 寄附修正事由が生じた場合の株主の処理
* (グループ法人間の資産譲渡)
o 問8 完全支配関係がある法人間の資産の譲渡取引における譲渡の意義
o 問9 非適格合併による資産の移転と譲渡損益の繰延べ
o 問10 譲渡損益調整資産(非減価償却資産)を簿価により譲渡した場合の課税関係
o 問11 譲渡損益調整資産(減価償却資産)を簿価で譲り受けた場合の譲受法人の申告調整
o 問12 譲渡損益調整資産が減価償却資産である場合の戻入額の計算
o 問13 譲渡損益調整資産に係る通知義務
* (現物分配による資産の譲渡)
o 問14 完全支配関係が外国法人によるものである場合の現物分配
o 問15 親会社株式の現物分配
o 問16 適格現物分配制度の創設に伴う欠損金の制限措置の改正
この導入の目的として ある種の税法上は合理的な節税方法で課税当局が許せない(作為的で税収が大きく減る)方法を封じ込めるためだとされています。以前はこのような方法は課税当局の目を気にして派手なセミナーもされず、ささやかに行われていて大々的には行われていませんでした。だから 課税当局も認めざるを得なかった。その行為に合理的理由があり税法を当てはめて税額を計算すれば税金が減るわけですから。ささやかに行われる程度だから国レベルの税収に大きく影響が及んでいなかった。税法を変えてまで規正と言うことにはならなかった。
しかし時代が変わり、ファンド主義経済とかでこれらの方法が遠慮会釈なく行われるようになってきました。グループ税制など次々に税制改正されている理由の一つにはこれがあります。
しかし、このグループ法人税制を逆手にとる方法も制度の導入前からいろいろ検討されているようです。