所得税の確定申告に関連して次のような質問を受けた。
メールでの相談は難しいなと実感したケース
事実関係が状況が自信を持って判断できないから当たり障りのない回答しかできなかった。質問者は結論のみを知りたいのであろうが。。。。。。 熱が出たので病院に行ったら熱があるのでただの風邪のこともあるし新型インフルエンザのこともあるし本当のことは検査をしないとわかりませんといわれるようなものですから。。。
[質問内容]
死亡保険金にかかる税金についてで、下記条件で贈与税ではなく、
一時所得の税金として申告することは出来ないか、のメールによる質問です。
条件)
1.被保険者は娘です。 (昨年9月病気の影響もあり、崖から落ちて気を失い死亡という事故死扱い)
2.契約者と受取人は妻です。(契約者は当初は娘でしたが、精神的病気から本人に任せることが不可能と判断したため)
3.保険料は私の口座から支払いしていました。
4.死亡保険金は生命保険会社より妻の口座に入金されましたが、私名義の口座に全て移し、私が管理しています。
5.保険金は約2000万円でした。
この所得への課税ははどうなりますか?
私の一時所得として確定申告するのでしょうか?
それとも妻の贈与税の対象でしょうか?
[対応]
直接 お会いして質問を受ければ いろいろ状況や事実関係がわかるのですが残念ながらメールでの相談でしたので格式張った回答しかできませんでした。
[回答内容]
税法のルールでは死亡保険金の場合、保険契約書上の保険契約者が誰であるにせよ実際に保険料を支払っている『保険料の負担者』と『被保険者』と『受取人』という風に三つに分けてこの組み合わせに応じて税法上の取扱を決めています。
仮に、ご質問のように保険料の負担者があなたであり、被保険者は娘さん、受取人はあなたの奥さんとされている場合であれば奥さんが受け取るという事になりますので、あなたから奥さんへ贈与が行われたという税法上の取扱になります。
ただ難しいのは、あなたの質問では「死亡保険金は生命保険会社より妻の口座に入金されましたが、 私名義の口座に全て移し、私が管理しています。」という行為の経済的意味の解釈です。
即ち、奥さんの所有するお金を預かって管理されているのか、それとももしくは、奥さんがこれは私が貰うべき性格のお金ではないとして実質的に保険金そのものをあなたが貰ったのかという事です。
ちょっと考えればわかりますが 遺言書で贈与してあげると書いてあってももらう人が いやだ、贈与を受けないといえばそれまでの話ですから。。。
奥さんから預かって貴方の名義で預金を管理しているという事であれば、あくまでもその生命保険金を原資とする資金の所有者は奥さんという事(もしくは奥さんからの借入)になりますので、上記のように奥さんが贈与税を支払うことになります。
しかし、保険金を受け取るのは保険契約書に受取人として記載されている人ですが、保険契約書上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合において、保険契約書の保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことにつきやむを得ない事情があると認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときはその者を保険金受取人とするものとする取り扱いがあります。(相続税基本通達3-12〈保険金受取人の実質判定〉)
このような保険金受取人の変更の手続きがなされていなかったことにつき、やむを得ない事情のせいであると認められた場合、即ち、保険金受取人があなたの奥さんになっておりますが、これを保険料の負担者であるあなたに変更するという事が何らかのやむを得ない事情でできていなかったが事実上保険金はあなたが受け取ったという事であれば、保険料の負担者はあなた、被保険者は娘さん保険金の受取人はあなた
として、あなたの一時所得として税法上扱われます。
そのような事情があったため、仮に保険金については生命保険会社への保険請求手続きは保険契約のルールに従い奥さんの名義で行ったが、実質的な受取人であるあなたが保険金を貰った。即ち、あなた自身が所有する預金であると言う風に扱われた場合は一時所得となります。
この場合は、あなたが当然一時所得として確定申告する事になります。
税法的な言葉遣いで言うと、あなたが預かったお金の性質は何なのか。奥さんの預金を預かった、あなたが奥さんの為に管理しているという文字通りの意味なのか。
生命保険契約上の名義変更を、奥さんからあなたに変えるべきなのにやむを得ない事情で変更できなかった為に実質的な生命保険金はあなたが貰ったという意味なのか、という事実関係の話になります。
一般に贈与税よりも、一時所得の方が税負担が少ないケースが多いため「やむを得ない事情」があったとあなたが思っても、税務当局がそう判断するかは、この質問からはわかりません。
たとえば本来であれば平均寿命から考えて娘に万一のことは妻の生前中にはない。父親の方が先に亡くなるのが普通だから満期金と死亡の時の受取人を妻の生活費のことを考えて妻にしていた。娘の病気ため自分に戻そうとしていたが契約者たる娘の病気のせいで変更手続きができなかったなどがやむを得ない事情かどうかということです。
従いまして、税法上の取扱は前述の通りですが、これは税務当局と協議して事実がどうであるかについての確認が必要になりますので最寄の税務署で事情を説明し、確認することをおすすめします。