相続した株式の80%が相続税の対象にならず、20%だけが相続税の対象になるという言い方は正確ではありません。
今の段階で明確になっているのは、事業を承継する相続人(相続人が相続した株式に限定されていること)、つまり、社長が亡くなった場合には、次の経営者になる相続人が相続する株式に限定されていることです。
また、その相続人が取得する株式が全て80%の対象となるわけではなく、全体の発行済株式総数の3分の2までに限定されています。
簡単に言うと、100%株式を所有していたオーナー社長に相続が発生した。そして、その子供がその100%の株式を相続したというケースで言うと、発行済株式総数の3分の2に達するまでの部分については、課税価額の80%に対応する相続税の納税を猶予する制度です。
仮に、100%で10億円の評価であった会社の株式をオーナーが所有しており、それを相続により子供たる次の経営者が全額100%10億円相続した。この場合には、他の事業承継税制の条件を満たしていた場合には相続税の3分の2の部分6億7000万円までがその80%納税猶予の対象になります。
残りの3億3000万円は対象になりませんので、その分に対しては相続税がかかる。
また、3分の2の6億7000万円に対する部分のうち、評価額の80%は延納の対称にするということですので20%、即ち1億3000万円の評価額に対する相続税は課税されることになります。
すなわち、3億3000万円+1億3000万円=4億6000万円については課税対象になります。
とすれば、仮に10億円の財産の株式を所有していたオーナーは仮にこれを利用した場合でも相変わらず重い相続税がついてまわることになります。もちろん、10億円に対する課税よりも4億6000万円に対する課税の方が安いので相当軽減はされます。
、だからと言って、事業承継税制の80%延納制度ができたから安心だということではありません。相変わらず相続税の評価減を真剣に考える必要があります。