「中小企業白書2008年版」を読んでみました。中小企業庁が作成するこの白書を毎年読んでいます。理由はそこで提言されること、分析されることやそれに対して国が取り組もうとしていることについてまとまって記載されているからではありません。ほとんど役に立たない。それよりも面白いのは、そこで色々な統計データが引用されています。その統計データを見ていると実際何が起こっているかということを時間がたった後で見直すことができるからです。やはり統計にもとづいて話をすると説得力が増しますもんね。
今年の中小企業白書で面白かったこと
昨年までは中小企業に伴う事業承継の税制や後継者不足の問題をしつこくとりあげていましたが、2008年度に事業承継円滑化法(実際には中小企業の株を相続する人以外の人に支払わなければならない金銭保証が大変重くなるので企業を承継する人は大変きつくなると思います)や事業承継支援センター(あまり役立ちそうにありません)の51億円の予算をとれたことに満足したのか何も分析も提言もされていません。
今、日本のGDPに占める製造業の比率は30%しかありません。68%はサービス業です。しかも、サービス業の相当部分は中小企業が賄っている。中小企業でも製造業はある程度生産性があるのですが、サービス業となると非常に生産性が低い。どうすればいいのか。中小企業白書ではそのためにITの利用、ITの活用を提言していますし、その他にはグローバル化への対応やサービス経済への対応などが書いてありますが、ほとんど具体的な対応策はできていないようです。
おそらく中小企業のIT化への教育指導を行うセンターか何かができるのでしょう。そして 中小企業のIT化を支援するための予算がついて一件落着になるのでしょう。