新会社法 定款変更のコスト
新会社法の定款変更で簡単な会社、例えば取締役会などがなくなり、取締役だけでいい、監査役会などはいらないなど、簡単な役員構成にできるようになりました。
従来は株式会社である以上は取締役3名、監査役1名の計4名がどうしても必要でした。お客様の会社で節税のために簡単な事業を株式会社でしていたのですが、取締役等になってくれる人がいなくて困る、親戚でも将来何か言われても困るし、というところがありました。なにか迷惑をかけてはいけないという心遣いです。
今回の会社法では、そのような会社にはこういうことができるようになりました。株主とは言っても結局はその会社の社長だけなわけですので、監査役は監査役会を設けない形にする。取締役会も作らない(取締役会を作ると最低3名の取締役が必要になります)。従って、取締役1名だけの会社を作る。
ついでに新会社法以前の会社ですので、株式の譲渡については取締役会の承認が必要という定款事項が入っていますが、取締役会がない以上、これについては株主譲渡は株主総会の承認が必要であるというふうな形に改まりました。もちろんそのような小規模な会社ですので株券は発行することになっていましたが、発行していません。この際だから株券も発行しないということを商業登記簿謄本にはっきり書こうということに決めました(従来からの会社は株券を発行すると商業登記簿に書いてあります)。
この結果、できあがった定款上、商業登記簿謄本上の会社は取締役1名だけのすっきりした形になっています。なお、今まで2年に1度変更が必要だった取締役の任期も10年としました。
だが、これにはその会社にしてみれば予想外に費用がかかりました。経費は全部で13万円程かかりました。商業登記簿謄本の項目を変更すると、それに対応して法務局に諸税金を支払わなければならないらしく、また、その司法書士さんへの手数料という形にもなっているとのことです。まあ、取締役の任期を10年に延ばしただけでも取締役の登記が省略できますし、長期的には会社の実態に合わせた形になりますので得だと思いますが、その登記費用の説明が社長にもれていたのがちょっと残念と思うところです。
ちなみに司法書士の方に聞いてみると、最近の登記関連ではこのような取締役会などを簡単にする変更登記ではなく、有限会社を株式会社に変えたいという希望が多かったとのことです(注:新会社法では資本金は1000万円の必要がなくなり、従来の300万円の有限会社が増資することなくそのまま株式会社に変更できます)。費用は20万円ぐらいとのことです。