病院機能評価と新病院会計準則の強制適用と監査
◆病院機能評価の条件
平成16年8月に病院会計準則が改正されましたが、準備が整った病院から時機をとらえて自主的に活用するもの(医政指発第0819001号)とし、新病院会計準則を適用するかどうかは任意とされていました。
しかし、新病院会計準則を必ず適用しなければならない病院があります。それは現行の病院機能評価(Ver5)の審査を受ける病院です。
病院機能評価とは、財団法人日本医療機能評価機構が実施している医療機関の第三者評価で、全国に9077ある公私病院のうち、2164病院が認定を受けているとのことです。
現在の認定基準が、病院機能評価項目Ver5といわれるもので、これまでの規準と違い、 ①病院会計準則に基づいた会計処理を適用しているか、②200床以上の一般病院は公認会計士による外部監査を実施しているか、③予算の作成と実績管理は行っているかなどのチェックも受けますので、会計制度の改善なく病院機能評価の認定を受けることは困難です。
◆新病院会計準則を適用すると
新病院会計準則を適用すると、①リース会計の適用、②退職給付会計の適用、③税効果会計の適用、④キャッシュフロー計算書の作成、⑤附属明細表の作成などが必要となります。
その結果、事務コストが増大するのみならず、決算書上、負債が増加し、自己資本比率が低下します。
リース会計が導入された場合、これまでの賃借料としてリース料を費用計上する会計処理から、購入した場合と同様に資産計上する会計処理に変更する必要があります。この結果、リース会社への借入金が計上されます。
さらに、退職給付債務の増加により、医療法で必要とする自己資本比率20%規制をクリアーできなくなる病院もあり得ます。
◆病院機能評価に応じた対応が必要になる
病院機能評価の認定を受ける病院は、今後もますます増えることが予想され、既に認定を受けている病院も5年毎の再認定審査が必要となります。
更に悩ましいのは、私どもは税務や経営のコンサルティングで病院と関わりをもっています。しかし、ここで要求されている公認会計士による監査は税務や経営コンサルティングを提供している者とは別の者が提供しなければならないのです。なかなかやりにくくなっています。
公認会計士の仕事が増えていいではないかとのことですが、監査の報酬は安くないので、不満の声が出てきそうです。