日下公人さんの「数年後に起きていること(PHPソフトウェアグループ)」という本を読みました。
この本の内容は、日下さんがかねてより主張していたことと同じ内容です。日本経済はますます良い方向に向かっている。世界の最先端を走っているという話なのですが、この中で面白い言葉「風流経済」という言葉がありました。
日本経済はフリーターが増えて困っているというような言葉が出てきていますが、逆の言い方をすれば、そういうフリーターやニートという人たちは必死になって今よりも経済状況を良くしようと頑張っている人たちではないということもできます。
そういう人たちが生きるか死ぬかという極貧の生活をしているのかというとそうではありません。「下層社会」という本の中でも主張されていたように、今まで中流の生活をしていた人たちが中流の上と中流の下とに分かれていくという同じ中流社会の中の話です。
そこそこの生活はできる。しかし、あえて収入を増やすために一生懸命頑張ろうとはしないという今までになかったような人たちが大量に出てきたということで話題になっているのです。
日下さんの見方は違います。日本が豊かになったいわゆる成長の段階を経てしばらく更に成長したいという意欲をなくしている。この中で、江戸時代でもそうだったが、風流というか趣味の世界に生きる人たちが出てくる。つまり、人の生き方やタイプが分かれる。3分の1は相変わらず上昇志向で頑張るだろう、3分の1は普通の人生になるだろう、そして3分の1は趣味に生きようとか風流に生きようとかいう人たちに分かれる。例として、一休さんや良寛さんなどという風流人の先例がある。感性や美といった気まぐれを優先する人たちでもあります。やりたいことをやる人がたくさん出てくる。そしてその人たちが作るのが風流経済というものである。風流という言葉の裏の意味は社会を離れ、社会を超えて、しかし何となく自分が満足するということである。
例えば、オリンピックの金メダルを獲ってしまうと明日からすることがないという気持ちと似ているようなものだという不思議な世界です。ボランティア活動やNPO活動、更には生涯学習活動などはそのひとつの例であろうというような話です。
競馬のディープインパクトの応援に日本からパリまで何千人かが出かけた。風流といわずになんでしょうか。
いずれにしても「風流経済」という言葉は面白い言葉だなと思いました。