医療法改正
監事の業務が厳格になる
医療法改正と現在の監査制度
平成19年4月1日より改正された医療法が施行予定です。
一人医師医療法人も、平成19年4月1日以降設立される医療法人も、出資金(拠出金)しか返済されないといういわゆる「出資限度額法人」という形で設立することになります。従前の一人医師医療法人は、当面現状通りとされています。
そうはいっても、一人医師医療法人は現在の税制上有利ですので、今後とも個人開業医の医療法人成りは続くと思います。
ところで、一人医師医療法人にも役員として監事が必要とされていますが、医療法改正の中で「監査の厳格化の流れ」なのか、監事の業務について規程が明文化されました。
従前の医療法では、監事の職責は明文化されておらず、定款で財産の監査と業務の監査を行うとされていました。
改正医療法と今後の監査制度
改正医療法では、監事は業務の監査をすることと財産の状況を監査し、毎会計年度、監査報告書を作成し、社員総会又は理事に提出することが法制化されました。
また、監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為などを発見した場合には、知事又は社員総会もしくは評議員会に報告することも法制化されました。
医療法改正により、本来監事が行うべき業務が法制化されたと言えるでしょう。
注目すべき点は、改正医療法第52条です。医療法人は決算届出書を、会計年度終了後3ヶ月以内に、貸借対照表などの事業報告書のほかに、監査報告書も添付して提出することが法制化されました。
従って、医療法人の監事は来年度より監査報告書を必ず作成しなければいけなくなります。これは、病院を開設する医療法人のみならず、一人医師医療法人といわれる診療所を開設する医療法人も同様です。
「監事」は、経営の相談に預かることもなく通常は何もありませんが、何か不祥事が起きると責任等を追求される立場です。
監査報告書が県に提出されていると、県が自らの責任転嫁のために監事を引っ張り出すことも考えられます。
なにしろ不動産賃貸業など医療法人が行ってはならないとされていることを発見した場合、監事は「県知事または社員総会・・・」に報告する義務があるわけですから、一人医師医療法人でも身内以外の者を監事に選任するようにと指導されています。大病院になれば同様です。
いずれにしても監事の人選と処遇に苦労しそうです。
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