監査の厳格化
今、日本の国は全般的に監査を厳しくしようという流れがあります。監査の主役になるのは公認会計士や監査法人ですが、私も公認会計士の一員としてその責任が重くなっていることをひしひしと感じています。
① 上場会社の監査
監査法人が上場会社の監査をしていますが、カネボウ事件等の反省を受け、監査の厳格化が叫ばれています。また、会社法の制定により会社の内部統制の評価という業務が監査法人の業務(従来は財務諸表の監査に限られていた)になるとの考え方のため、内部統制についても厳しく調査していくという流れになっています。
ただし、会社法が考えている内部統制は適法性、業務品質という分野での内部統制という世界であり、適正な財務諸表作成のための内部統制とは重なっている部分もあり、ずれている部分もあると思います(話が専門家の独りよがりになりすみません)。
先日、大手監査法人の方とお話したときの話では、この内部統制の調査そのものは法律的には来年度の話であるが、その準備としてもう仕事を始めており、相当時間数をとられているというような話でした。
私どもにも税務顧問をさせていただいている上場企業や上場準備中の会社がいくつかありますが、監査法人からの要求がひしひしと厳しくなってきていると感じています。以前はそんな厳しいことを言わなかったのに・・・と会社の方がグチをこぼされますが、これは監査の厳格化の流れからいって仕方のないことだと思います。
適正な開示、情報公開ということなのですが、段々会計のルールを厳格化していき、グローバルスタンダードと呼ばれているものにしていきますと会計士自身が自分で金額を決められない問題が出てきます。例えば、減損会計といいますが、収益を生んでいない不動産の時価はどうやって評価するのかという話です。新株予約権の時価も同じような話です。
あまりにもルールを厳格化していけばいくほどに会計士自身がその時価が正しいかということをどうやって検証していけばよいのかという問題につきあたっていきます。
しかし、私が上場会社の監査をしているときは少なくとも日曜日は休みでしたが、今は連休も働くというのが常識だそうですから監査法人はハードワークな厳しい時代になってきているのでしょうね。