地域医業研究会の研修に参加
現在、国会提出中の「医療制度改革関連法案」と厚生労働省の公表資料からどのような医療制度に誘導していこうとしているのかということについての解説であった。
A.目的:医療費の増加の抑制である。
減少ではありません。
現在、2005年度28.5兆円、何もしなければ現在の医療制度では、10年後は40兆円、これを改革して37兆円にするという計画です。
患者数は間違いなく増加する。今の一人あたり医療費を維持する(つまり今と同じ経営方法を医療機関がとる)と医療費が国全体では跳ね上がってもう医療保険制度を維持できない。医療保険制度を握っていることが厚生労働省の力の源である。故に、何とか国営の医療保険制度を維持したい。医師もそう願っているはず。
従って、患者一人当たりの医療費の引き下げをするという方針です。
はっきりそのように表現すれば誰も間違わないのに。。。。。。
逆に言えば、単価は下がるのであるが、数が増えるので、それに対してどのような経営方針でいくのかということを考える必要があります。
私の意見は簡単です。
単価は下がるが数量が増える。市場内の大きさそのものが増える。
このような市場への対応は、一般ビジネスの世界では単純な原則があります。
①固定的なコスト削減
クリニックであれば、最大の固定費である建物などへの支出を抑える。借入金をどんどん返済する(院長の個人の預金ではなく、借入金の返済を優先する)。安い人件費の活用を考える。
②市場の流れ(医療制度の場合は国がどの方向へ誘導するのか事前に示していますのでその方向に向けて)に合わせる。
言ってみれば、従前は10の労力で10の成果、売上があったが、10の労力で9の成果、売上の時代になる。12の労力で10.8の成果、売上が得られる。これが競争社会の原理である。
B.国の目的達成の手段
2つの手段をとる。
①平均入院日数の短縮を強力に押し進める。これにより、空き病床を大量に発生させ、一般病院に介護への転出、もしくは回復期リハもしくは亜急性期医療に専念させる。
40万床くらいが一般病院からなくなるとの予測である。このために既に介護型療養病床になれないように介護型療養病床を平成24年4月に廃止する。
要は過大な医療設備 医療従事者 医療経営者と国は思っている。
②生活習慣病を減らすため、保険者に加入者の健康診断を義務付ける、且つ、保健指導は保健士や管理栄養士が行う。健診も指導もクリニックにはさせない。
患者を増やさない。初めて国は正しいことを行ったと思います。長野県を見習うと言うことです。
クリニックは在宅重視に導く。もしくは、午前中クリニックで診療、午後は往診だったのでその形へ戻す。
患者さんには、自宅で終末医療を迎えてもらう。クリニックがイヤだと言ってもイヤと言えない形に75歳以上の医療保険制度の新設でもっていく。
事の是非を判断できませんが、お金の面から厚生労働省が追い込まれているのは本当のようです。
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