平成18年度の税制改正で、役員に対する給与について重要な見直しが行われました。
今までの法人税法では過大なものを除き「役員報酬は損金算入」「役員賞与は損金不算入」として取り扱われてきましたが、今回の改正では、「報酬」「賞与」という区分で判定するのではなく、内容や税務署への事前届出の有無により「損金算入」「損金不算入」が判断されることになりました。
具体的には、平成18年4月1日以後開始する事業年度より損金算入となる役員給与(報酬・賞与)は次のようになります。
(1) 定期同額給与(たとえば月額50万円づつ支払う役員報酬)
(2) 事前届出された定期同額給与以外の給与(たとえば月額50万円の役員報酬の他に6月に100万円、12月に100万円の役員賞与を支払う場合)
(1)の毎月定額の役員報酬を支払う場合は、事前届出は不要ですが、(2)の役員賞与を支払う場合は、①職務執行の開始日(6月支給賞与は前年の12月31日、12月支給賞与は6月30日)②会計期間開始日から3ヶ月を経過する日(3月決算会社であれば6月30日)のいずれか早い日までに事前届出を税務署に届出しなければなりません。
つまり、役員賞与については従来の利益処分(利益が出たから支払うといった賞与)は今までどおり損金不算入で、あらかじめ支給時期と支給額を定めた賞与は損金算入できると改正されたのです。
また、従来利益が出そうだからということで決算後に役員報酬を増額改定する場合がありましたが、今回の改正では、事前届出が不要な「定期同額給与に準じるもの」として、次の①から③が政令に規定されました。
① 会計期間開始日から3ヶ月を経過する日までに増額改定された場合
② 経営状況が著しく悪化した場合等の理由で減額改定された場合
③ 継続的に供与される経済的利益で、その額が毎月おおむね一定のもの(役員社宅の家賃など)
つまり、決算後3ヶ月以内に株主総会を開催して増額改定しておけば事前届出なしでも損金算入できますが、事前届出なしに4ヶ月目以降に増額改定した場合は、損金算入が認められないことになりますので十分ご注意ください。