前回、生命保険の記事を書きましたが、保険についてとても嫌な思いの記事があります。
引用すると
Aさんは89年に2830万円の生命保険に入ります。02年に肝臓ガンを宣告されます。
亡くなれば2830万円ですが、生存中はお金になりません。収入は妻の内職だけ。
この保険を解約すれば返戻金はわずか28万円です。
生命保険には余命半年なら保険金がでるとの特約もありますが、Aさんの余命は
数年あるので対象外。保険料月1万8千円を支払い続けることも厳しい状況です。
Aさんのこの生命保険契約をある会社が04年12月に買取りました。買取金額は
849万円(死亡保険金2830万円の30%)。その他今年中に死亡したならプラス849万
円、来年なら283万円、その翌年142万円、以降57万円の弔慰金が企業からAさん
の遺族に支払われます。
会社は契約を買い取った後も保険料を支払い続け、Aさん死亡時には保険金を受
け取ります。
この生命保険買取契約は米国では当たり前のシステムのようです。
そして新聞記事
生命保険売買2審も棄却 がん患者の訴え認めず
長期療養で生活に困窮した埼玉県内のがん患者の男性(51)が、生命保険を
東京都内の買い取り業者に売却するため、AIGスター生命保険(東京都中央
区)に対し、保険の名義変更に同意するよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、
東京高裁であった。
南敏文裁判長は「男性の窮状は理解出来るが、生命保険が売買の対象になれば、
不正の危険が増大する」と述べ、名義変更を認めなかった1審・東京地裁判決を
支持し、男性側の控訴を棄却した。
男性の代理人弁護士によると、生保買い取りビジネスに関する初の訴訟。同ビ
ジネスは米国などで普及しているが、日本ではこの業者が先駆けとされ、法的規
制はない。
判決では、保険の契約者が気力、体力が衰弱した病人という弱い立場にあるこ
とから、生命保険の買い取りを巡って米国で過去に、不当な買いたたきや、犯罪
組織が業者になりすますなどの問題が起きたことなどを指摘。「個別事案による
解決は困難で、今後、いかなる救済を図るべきか、生命保険買い取り業者の規制
をどうすべきかなど、慎重な検討が必要だ」と述べた。
男性は1989年、死亡時に3000万円が支払われる生命保険を契約した。
2002年に肝がんと診断され、医療費などで生活が困窮。04年12月、死亡
保険金を受け取る権利を「リスク・マネジメント研究所」(江東区)に849万
円で売却することで合意したが、AIG側が「モラルリスク(倫理的問題)があ
る場合は同意しない」などとする内規を理由に、名義変更を拒否していた。
「生きるすべない」原告男性泣き崩れ
「これでは、私と家族が生きていくすべがない」。原告の男性は判決後、法廷
の外で泣き崩れた。
がんで入退院を繰り返す中、仕事は退職に追い込まれた。妻の内職収入(月額
約12万円)が頼りだが、自宅売却や親族からの借金でも足りず、通院すら控え
ている。月約1万7000円の保険料を支払い続けることが困難になったが、保
険を解約しても返戻金は約28万円にすぎない。「治療費は出ていく一方。まと
まった金はのどから手が出るほど欲しい」と、保険買い取りを求めていた。
1審判決後、リスク・マネジメント研究所には約10件の問い合わせがあった
といい、保険買い取りに対するニーズは少なくないと見られる。男性はこの日、
上告する意向を示し、「私の訴訟をきっかけに、生保売買について議論してもら
いたい。必要なら法整備もしてほしい」と話した。
(2006年3月22日 読売新聞)
この内容については色々考えることがありますが、保険というものが受取人をいつでも変更できるという点に問題があるような気がします。
よく住宅ローンの火災保険の受取人に質権設定という形で金融機関が示顕を設定しますが、そのような形での質権設定によるお金の貸付というものはできないものなのでしょうか。
なかなか難しい問題があるようですね。
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