会計ができる人の減少
アメリカの大学生のうち会計を専攻する割合は15年前は4%だったのが、5年前には2%に落ちたとのことです。 若い世代には会計は人気がないということです。
何故か。実は、大学あるいはその上のMBAのコースに進もうという方々は能力が高い。即ち、アメリカで一番高給がもらえるサラリーマンは弁護士や金融業界に進む方々です。そう言えば、日本の100億円サラリーマンも証券業界の方でしたし、外資系証券会社の給料は平均数千万円単位、それも上の方の数千万円単位というふうに聞いたことがあります。ただし 本国の証券会社の社員のの給与は年収数億円クラスはざらとのこと。数十億円という事例も多い。
会計士は基本的には日本でもアメリカでも監査法人という形で業務を行う。そうすると監査法人での報酬というものは少なく、金融業界の報酬に比べると格段と安いという話でした。
そうはいっても日本の監査法人の代表社員クラスになれば少なくとも年収数千万円クラスとのこと。
税務統計では個人の会計事務所の所得は平均1500万ぐらいとのことでサラリーマンの管理職クラスです。
私が昔いた外資系の会計事務所で言えば、米国人の名簿を見ても有名大学の人はいなくて大体アメリカの中西部の州立大学を卒業した素朴なおっさんという方々が一番偉い人たちでした。
アメリカの流れは必ず日本に来ると言われています。私は、会計士という仕事が直接お客様のお顔を見て仕事ができ、直接色々なアドバイスができる仕事なので天職だと思っていますが、報酬という面からいくと若い人々を惹きつけられない職業になってしまうのでしょうか。
2000年頃米国の公認会計士協会は「ビジョン21」という対策を打ち出しました。即ち、できるだけ経営も含めたアドバイスができるような存在に我が身を変えていこうというのです。従って、コンサルティングの仕事に大変力を入れました。また、日本の大手監査法人も同様でした。
ところが、このコンサルティングは大成功したのですが、あまりに行き過ぎ、例えばアンダーセンは、例の有名なエンロン事件では26億円の監査報酬と同時に26億円のコンサルティング報酬をもらっていたということが明らかになり、監査法人はコンサルティングを原則やってはいけないというように変わってしまいました。日本でも同様に変わりました。この結果、日本でどういうことが起きているかというと、コンサルティングをやりたい人は独立して、私どものような少人数の事務所を作り、コンサルティングをやり始めています。
そちらの方が単なる税務・会計の仕事や監査法人に勤務しているよりも報酬が高いという現状だそうです。なかなかうまくいかないものですね。ただ、会計をベースにしたコンサルティングは非常に需要が強いので益々伸びていくのではないかと思っています。
専門職の世界はまだましでしょうが、経理・会計という分野がわかるサラリーマンは減っていくのでしょう。その結果、会計事務所の負担が増えるということでしょう。
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