最近、税務訴訟で国が負けたという記事が新聞で次々に大きく報道されています。
これは何故なのかというと、税務調査に対する考え方、税務調査、それに伴って行われる税金を払う側(会社)が納得した場合には修正申告としますが、納得しない場合に税務署があなたの追加の税金はいくらですと言って一方的に徴収すること(更正処分)が増えているため、当然税金を払う側は納得していないのですから裁判になりやすいことの表れです。
何故こうなったかという話ですが、税務調査が荒っぽくなったということです。
ある方が、税務調査の現場は昔の関東軍だと言っていました。要は、関東軍というのは日本政府の言うことを聞かずに満州事変を起こしたり、勝手なことを繰り返したわけですよね。
現在、税務調査においても上司の言うことを聞かないというか、税務署出身のOBの先生の言うことを聞かないということがまかり通っているそうです。税務調査の現場に出る方はバリバリの現役の方々ですが、そういう方が上司やOBの先生の言うことを聞かない。単純に言えば、OBの先生方というのは良い時代に退職されているので、辞めた後の就職口の斡旋を、いい悪いは別として税務当局がやってくれていた。
税務当局と会社の間に立ってある程度の落としどころを探してくれていたのがOBの先生方だったのですが、現在の不況と言いますか、会社の数が減っていっている中で、現職の方々が辞めたとしても退任後引き受け手の会社がない、或いはそういう会社を斡旋できない、従って、OBの先生方の言うことを聞かないという形になっているそうです。
また、一説によれば綱紀粛正のためOBの先生方と現職の方がお酒を飲むという機会自体もはばかられる時代であるためコミュニケーションが悪いという世界もあるそうです。
それが一般的な税務の世界、もうひとつ大きい世界は、名古屋国税局の独走が目立っている。
大きな案件では負けてもいいという状況になっているそうで、以前は裁判で負けるということは税務当局にとって大変恥になることでした。
税務訴訟になっても確実に勝てる案件しか更正処分をしなかったのに対して、現在では気にしないで更正処分を繰り返す。つまり、税務当局も訴訟社会になっているという話です。
この結果、税務調査で活躍するのは弁護士の方々というふうに時代が変わっていっている。
或いは、税務調査に立ち会う税理士の先生ではなく、税務訴訟になったあと弁護士の先生を手伝う税理士の先生が大変儲かるという世界に変わっていっているそうです。
税理士事務所の在り方をめぐる話として参考になります。
ちなみに、弁護士先生の世界では、訴訟が起こらないように色々と気を配る、契約書等に気を配る弁護士先生は儲からず、訴訟が起きた後にその応援をする弁護士先生が儲かるとのことです。会計事務所の経営にとって示唆に富んだ発言です。