生命保険会社の決算書は今インターネットから見ることができるのですね。
平成17年3月期の日本生命の決算書を見てみました。私は、20年以上前から日本生命の保険に入っています。理由は日本生命だったら潰れないだろうということを20年程前から思っているからです。最近は生命保険料の高さに音を上げて安い共済保険にも追加で入っています。
決算書を見て思ったこと。
総資産が46兆円。株式は時価評価されています。自己資本比率は7%でした。生命保険会社というと保険者から集まったお金を運用して生命保険として払うというイメージが強いのですが、最近は運用利回りが低いと言われています。有価証券は全部で29兆円程持っていて、それによる有価証券利息(国債)配当金(株式)が6200億円ですので、いわゆる利回りとしては2.1%ということなのでしょう。貸付金が10兆円あって2%、不動産収入が1兆円あって8%の利回りでまわっているようです。1兆円というと大きいですが、駅前のほとんどのめぼしいビルは生命保険会社等が持っています(福岡市の場合)ので、それから比べると日本生命で1兆円程度しか投資用不動産を持っていないのかなと予想外に不動産にあてている金額が少ないなという感じです。
損益計算書を見ていたら保険料収入が4兆8000億円などで全体では6兆3000億円の売上。
日本生命というと大きいというイメージでしたがこうやってみると売上規模でいくとトヨタや日産には及ばないのですね。
費用の中でおもしろいなと思ったのが保険金として払っているのが4兆6000万円なのですが、そのうち保険や年金等で払っているのが約2兆3000億円、いわゆる生命保険解約によって払っているのが1兆2000億円ですから予想外に解約が多いなという感じがしました。通常の個人の方は生命保険を中途解約するということは義理で入った保険でしかないと思いますが(常識が変わっているのかもしれない)。
最近は、企業向けの保険は途中で解約することを予定したいわゆる節税(税金繰延保険)になっていますのでどちらがどのように影響しているのかはわかりません。ちなみに会計士として言いますと、このような解約を目的とした保険というのは現在の税法上の隙間をついた話ではないかなと思っています。
もうひとつ面白い数字としては事業費というものがあり、5500億円あります。これは、保険料収入4兆8000億円の11%にあたるのですが、これがいわゆるテレビコマーシャルや生命保険の方々の人件費や経費にあたっているのですね。毎年払っている保険料の11%はそれを管理する経費として消えているのか・・・。
生命保険会社の会計のルールや相互会社の利益の意味がわかりませんので決算書を見ても何もわかりませんでした。ふつうの会社の人も会社の決算書を見てもそれを作る元となっている会計のルールがわからないから会計事務所が何を言っているのかよくわかっていないのだろうなとただ苦笑したところです。いったいこの生保会社はよい方向に進んでいるのかどうか。私の満期保険金は帰ってくるのか。今後配当金はつきそうなのか?
わからん。ただ、規模がわかったのでちょっとおもしろいなと思った次第です。