えっ!! 商法改正、そんなことが変わるの!?
今回の商法改正は非常にたくさんのことが変わります。その中で一つ、これは絶対中小企業にとって有利だと思うことがありました。これは、取締役の任期です。今までは取締役の任期は2年ごとに選任し直さなければならない。選任し直すということは、株主総会で承認するということですが、そのことを商業登記簿謄本に掲載しなければならない。任期が2年ごとですから2年ごとに新しい取締役あるいは重任取締役を法務局に登記しなければならない。これを忘れてしまうと、思い出したときに登記すればいいとしても、その時2~3万円罰金がかかる。ケチな話かもしれませんが司法書士への手数料も2年ごとにかかるというのが現状でした。これが、定款を変えて取締役の任期を10年まで延ばすことができるように改められます。ということは、10年に1度登記すればいいということです。小さな会社等では10年間社長が同じということはざらにあることですから、10年間の任期で取締役を決めておけばよいということになります。
そういうふうに思っていましたし、それ自身は変わらないのですが、これが飛び火して違うところに影響を与えてしまいました。それは、休眠会社のみなし解散の規定です。会社がなくなるときは会社が倒産するだけでなく、実質的に休業するということも多いようです。法律上破産まではなくても実質的に休業することも多いようです。そういう会社はわざわざ司法書士に頼んで手数料を払って解散の登記をするという人は滅多にいません。官報に会社を解散しますという公告しなければいけないし、法務局にも手数料を払わなければならない。
いわば力尽きて休業状態になるわけですからお金もないし、面倒だと。しかも、法務局に何もしなくて放っておいても関係ないと。ということで、実際には税務署に対しては会社を休業しました、もうこれ以上申告書を出しませんという届け出を出しておき、一方では法務局に対しては何のあいさつもない、即ち会社を解散したとは伝えないで知らん顔して放っておく。そうすると5年経つと法務局でも動きがない(取締役の2年ごとの登記がない)ということで職権で会社の登記をしてくれる、つまり、お金を払うことなく会社の解散登記ができるというわけでした。ところが、今回の商法改正で取締役の任期を10年にすることができるので職権解散するのを5年から12年まで延ばすということになるそうです。
えっ!!という感じですよね。5年待てば会社の職権解散されるのに比べて12年待つのははたして有利なのでしょうか。ちょっと考えさせられた件でした。