お客様のところに税務調査がきた。
たまたま昔作った事務所内での税務調査の対応研修のレジメが見つかったので掲示させていただきます。
◆申告納税制度とは
納税者のする申告により納付する税額が確定することを原則とする制度(国税通則法16条)
・ 主役は納税者
税務署、税理士ではない。
所得金額、税額の計算誤りの場合
・所得金額、税額の増額 → 修正申告書の提出
・所得金額、税額の減額 → 更正の請求(申告期限後1年間に限られる)税務署が調査しないと減額されない。
アメリカでは、減額も還付請求の申告書を提出するだけでよい。
・ 税務調査、税務職員の質問、検査権
犯罪の操作のために認められたものではない(法人税法156条、所得税法234条)
強制捜査の雰囲気を意図的に醸し出す人がいる。
税務調査にどう対応するか
●税法の役割
税務官庁による恣意的課税を排除し、国民の自由と財産を保護し、経済生活に法的安定性と予測可能性を与えること
●憲法
第29条財産権、第30条納税義務、第84条課税の規定
◎国税査察官以外の税務調査はすべて任意調査
イ.申告した所得又は資産等課税標準や税額の計算が適法かどうかの確認の為の調査に限られる
ロ.税務職員の質問、検査権は犯罪の操作のために認められたものと解してはならない。
(法人税法156条、所得税法234条)
・ 机の引き出し、ロッカー等は勝手に調べることはできない。
・ 何をするにも納税者の「承諾」がいる。
・ プライバシーには及ばない。 (憲法第31条、法的手続きの保証)
◎予告のない突然の調査にどう対応するか。
イ.調査は事前に予定日を通知するのが原則。
ロ.都合が悪い日の調査は、変更してもらえる。
ハ.事業主本人又は、法人の代表者が不在の時は断ること。
◎税務調査には税理士等の立ち会いの上で対応すること。
◎税務職員が調査に来社したら
イ. まず、相手の身分の確認。身分証明書はよく見てメモする。
(身分証明書の携帯、提示の規定。法人税法157条、所得税法236条)
ロ.調査理由を尋ねる。(調査は必要な場合に限って行われる)
ハ.調査対象(○○事業年度の法人税、○○年分所得税等)や日程を尋ねる。
◎調査の対象
イ.事業所得の調査・・・事業に関する帳簿等が質問、検査の対象
事業に関しないもの・・・個人生活等に関するものは対象外
個人・事業所得の金額・・・総収入金額-必要経費(所得税法27条)
必要経費・・・売上原価、その他収入を得るために直接要した費用
(所得税法37条)及びその年における販売費、一般管理費、
業務について生じた費用
法人・各事業年度の所得計算(法人税法22条)
① 益金の額-損金の額=所得金額
② 益金、損金の額の計算は、一般に更正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する。
ロ.個人の住宅等への立ち入りはハッキリ断ること。プライバシー(人権)は保証される。
ハ.質問にはその場で即答しなくてもよい。曖昧な答弁は誤解を招く。
・ 記憶が不透明な場合
-後で調べてハッキリわかってから回答する。
-記憶にないこと、忘れたことは、無理をしないこと。
◎税務職員が税法の解釈等について、自説を押しつけてきた場合
イ.相手の言い分を詳しく聞く。結論だけでなく、その理由を質問する。
ロ.相手方の言い分がよく理解できないときには同意しないこと。
ハ.不用意に同意した後でも、訂正してもよい。
ニ.修正申告の勧奨には慎重に対処する・・・ガン治療も二人目の医師の意見を聞く。
「印を押したら」・・・後で異議申し立てはできない
◎日常の対応
イ.収入除外・・・絶対にないように。
ロ.売上計上の時期について
業界の健全な慣行が尊重される。
商品製品・・・引渡し基準
建設業・・・完成工事引渡し基準
サービス業等・・・役務の提供を完了したとき
ハ.損益(収入、必要経費)の考え方
申告納税制度・・・課税庁の一方的な解釈によるものではない。
法人税法(22条4項)公正妥当な会計処理の基準による。
●租税法律主義 憲法84条の規定