久方ぶりのブログです
格付けの意味
ムーディーズやS&P等によって社債や国債について格付けが行なわれています。
日本やアメリカの格付けがひとつ下がったとして大きな話題になっています。
読売新聞
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが24日、日本国債の格付けを9年3か月ぶりに引き下げたのは、東日本大震災のダメージに加え、政治の混迷で財政再建が進みにくいと判断したためだ。8月25日
米国も同じです。
日本AA- 米国 AA+
ムーディーズで実際に格付けの責任者を務めていらっしゃった方が公認会計士の集まりで、格付けの話をされてらっしゃいました。
私の理解が間違っているのかもしれませんが、ハッと思ったことがあります。
格付けということを一般的に言うと次のような表現になるそうです。
”格付けというものは利用者のニーズに対応して格付けをしなければならない。従って、社債かどうか、それも年金基金等が保有する社債(投資適格等旧社債)等では実際に社債を払えなくなる、未回収になる、いわゆるデフォルト率が極めて重要です。
ところが、投機的格付債(よくジャンクボンドといわれる)においては、デフォルトする率も問題でしょうが、それよりもデフォルトする確率が高いのですが、実際にデフォルトが起きたときに社債の元本の20%が返ってくるのか、50%が返ってくるのかということも投資家にとっては重要な意味をもちます。
従って、予想信用損失の大きさというものが大きなウエイトをもってくるとのこと。
これに対して、地方債や国債等については、国の格付けは少し考え方が違います。
国債は日本の国債であれば日本銀行が円のお札を、アメリカの国債であればアメリカの連邦銀行がドルのお札を印刷すれば返せることは返せるのです。
ギリシャ等が問題となっているのは、ギリシャはユーロのお札を自由にすることが出来ないからユーロで借りているお金を自由に返すことが出来ないという話であります。
日本とアメリカは状況が違う。
そこでは何が重要視されるかというと、国債は少なくても返ってくるということはまちがえない。
しかし、問題なのは返ってくるときの価値、つまり、よく言われるような大変な大インフレが起きて100万円のお金が100万円の価値では返ってこないという事に着目して、返ってくるかどうかということが重要な話である。
一般企業のようにデフォルトする、本当に返せなくなるという話ではなく、日本やアメリカでいえば、相対的な財務力、きちんと価値を損なうことなく経済運営が出来ていくのかどうかについてが、一番重要な話であるという事を考えて国債の格付けをするのだ。
従って、通常の会社の社債のような意味とは同じ格付けという言葉であっても意味が違いますよということです。
国の格付けをする場合には、きちんとした財政規律をもって、インフレ等を起こすことなく通貨の管理ができるのかどうか、というところが大きな意味を持つのだという話でありました。
国債の格付け、国債は破綻しない、国債は必ず返ってくる。しかし、国債が返って来るときの価値が問題なのだ、その国の財政運営なり財政規律の実行能力なり税金の取り立て能力なりで見るという話でありました。
格付けは格付けされている商品によって違うということであります。