お客様のところで貸倒れ損失が発生したと連絡を受けた。
従来、手形50%、現金50%で支払を受けたのであるが、今回に限り、手形100%の支払にしてくれとの強硬な依頼であったとのこと。不安に感じたけれどもやむを得ずそのままにしていたところ、1ヵ月後何千万円の不渡り、貸倒れの発生になったということである。
売上は最後に現金で回収してはじめて売上と言えるというのは鉄則であるが、現在のように大変資金繰りが急速に悪化している状況においては本当に貸倒れが多くなっており、怖いと思う。かと言って、貸倒れの発生を恐れてばかりいては売上縮小につながってしまうのであるが。
以前こういうことをいわれたことがある。
その会社はかなり大きい会社であるが、必ず新規取引先については社長の承認が必要であるという。長年の経験で社長が直感的にこの会社は危ないなどと、感じるそうである。
また、全ての販売先については売掛債権の上限、限度額を一社ごとに設定しているとのことである。
従って、あるところのお客様について大きな注文をもらったとしても売掛債権の残高(売掛金+受取手形の残高)を超えるような注文は受けられないような仕組みにしていた。
それは、当然ながら貸倒れが怖いからであり、貸倒れが起きたとしても、一定の範囲内で収まり、会社を揺るがすまでの大きな損失を被らないようにとの社長の方針の徹底である。売掛金というのは商品は既に得意先の方へ渡っているのであるから文字通り本当の損失になる。
米国のサブプライム問題の話を聞いたのがわずか1年ちょっと前であったのが、世界的な銀行信用不安を引き起こし、日本でも不動産を中心としたデベロッパーへの銀行の慎重融資(貸し渋りと言ってはいけないらしい)による上場不動産デベロッパーの倒産や弱小・中小企業の資金繰りの悪化が発生し、私どものお客様の会社でも不渡りや貸倒れの話をぽつぽつと聞くようになってきた。
世の中の激しい変化を思う。日本の政治も不安定なようで数年しばらく悪化傾向は止まらないのではないかと思う。