自社株80%納税猶予制度は税法の話です。まだ詳細は確定していません。
そしてこれを推進しているのが中小企業庁です。
誤解を与えないように説明しておきますと、中小企業庁が中心になって事業承継をしやすい制度をつくろうということでつくられたのが中小企業経営承継円滑化法です。これは、税法ではありません。
この主たる内容は、中小企業庁が自ら所管する中小企業に対する経営の承継の円滑化を行う。その大きな役割は3つあります。
①経営者の金融支援
経営者の死亡に伴う資金の調達を支援する、相続税の支払などのことを想定してつくっています。
②遺留分についての特例を設ける
生前に株式の贈与等を行っていたとしても実は相続が発生したときに遺留分の件でもめることがある。従って、経済産業大臣が確認し、家庭裁判所の許可を得た場合には遺留分については事前に一定の約束を決めましょうということです。これは平成21年3月1日以降施行される予定です。
③相続税の課税についての軽減措置を講じましょうという内容です。
中小企業庁(正式には経済産業省)が認定した企業には基本的に相続税を80%納税猶予しましょうということが政府で合意されました。
ただし税法を決めるのは中小企業の権限ではなく、税法を決める国会、そのもとには内閣等の権限ということになります。経済産業大臣の認定を受けた非上場中小企業の株式に関わる課税価額の80%に対応する相続税納税を猶予しましょう、ただし、それには対象になる限度もありますし、雇用確保をはじめとする5年間の事業継続等の要件が付いています。
従って、相続税の課税について、おおよそある程度軽減されるということは決まっているのですが、その詳しい内容は税法ができないとわからないという話になります。
具体的な税法の成立はいつかというと、政府税制調査会や与党の間での税制改正についての基本的な方向性が決まるのが今年の12月中旬ということになりますので、今の段階では色々方向性はもれてきていますが決まっていないことがたくさんあります。
中小企業庁の税制改正の要望以外にはきちんとしたものは今の時点では政府税制調査会等では公表されていません。