さらに、次のケースではオーナー社長が70%の株式を所有していた、子供には生前中から30%の株式を渡していた場合を考えて見ましょう。
この場合、相続財産としては7億円の株式になります。この7億円の評価の株式を子供がすべて7億円相続したとします。
それでは対象になるのは全体の3分の2までという条件が付いていますので、3分の2の6億7000万円がこの納税猶予制度の対象になるのかというと違います。
相続開始前から既に次の経営者たる子供が既に保有していた株式等を含めてその会社の株式総数の3分の2に達するまでの部分ということになっています。
既に3分の2、67%のうち30%は子供が所有しているわけですから7億円のうち3億7000万円だけが80%の納税猶予制度の対象になります。3億7000万円×20%、および対象にならない株式3億3000万円、4億400万円に対する相続税が課税されることになります。
つまり、7億円に課税されるのではなく、4億400万円に対する課税で済みますよということですから、相続税そのものは軽減されていますが決して完全に免除されているわけではありません。このように考えると非常に使い勝手の悪い税制であることがわかります。