名古屋で開催された公認会計士協会研究大会での記念講演は、トヨタ自動車の取締役相談役の奥田さんでした。
話の本題は、日本経済と地球環境問題ということで極めて大きなテーマでした。新聞紙上で報道されている基本的な意見を上手にまとめた話であり、新鮮みはなかった。
しかし、 本題とは別に、ちょっとした話で面白いなと思ったこと。
① 奥田さんは入社後、14年間経理畑にいたとのこと。
その当時会っていた会計士の方と今の会計士の人とは違うし、やり方も違うという話をされていた。昭和30年にトヨタに入社ということですので、おそらく40年くらい前までの会計士の人たちのパターンであろうか。随分変わっているという実感が話の中で非常に感情の込められているところであった。
② 地球環境問題で原子力発電だけでは乗り切れないという話。
原子力発電所の建設は、計画されているものだけでも200個くらいあるらしいのですが、原子力発電所の生産そのものがそれほどできない。従って、それ以外の手段もがんばらなくてはならないという話。原子力発電と言えば、日本の東芝、日立など非常に業績がよくなるということであるが、万が一の事故も許されないのが原子力発電であるから、単に作ればいいというはずのものではないので、そんなに作れないという話は実感があった。
③ 経団連は最近1000万人の外国人の移民を受け入れることを提言し始めたのですが、それに関連していかに受け入れてやるという上からの話ではなく、どうしたら来ていただけるかということを考えなければならない。
例えば、大学の先生などを海外から日本に呼ぼうとしてもなかなか来てくれない。家族の教育や住環境を含めてすんで楽しいところで日本はなっていない。例えば、トヨタはトヨタ工業大学というものを支援しているのであるが、これに海外の有力な先生を呼ぼうとすると、日本における待遇(社会環境的な待遇)を含めて非常に厳しいので来てくれない。従って、逆にトヨタ工業大学はシカゴに分校を作って、そこにそういう先生方に来てもらえるようにしている。ということは、世界中で車を売っているトヨタでさえ単独では海外の有能な方々に国内に来てもらうということに大変苦労しているということです。
日系ブラジル人2世、3世、に来てもらって工場で働いてもらっていることは有名ですが、そういう工場の労働者ではなく、高度な技術能力を持った方々を招聘するのは大変なことだと改めて思いました。