アメリカの決算書は透明性が高いのか?
アメリカはサブプライム問題で金融機関の信頼性 流動性が揺れています。
大手金融機関が1兆円の損があるという発表をしたり、ベアスタンズという5大証券会社、5大投資銀行の一つが実質上倒産してしまうなど、凄まじいことが起きています。
ベアスタンズは株価が1年間で75分の1まで下がってしまったとか。これに関連して、アメリカの連邦準備理事会の議長であるバーナンキさんが議会で証言をしていて、そのTV ニュースの中に「日本のバブル崩壊後の不良債権問題とは違う、それは日本の大手金融機関は発生した損失を粉飾で決算書から隠していたために迅速な行動がとれず、それがバブル崩壊後の不況を長引かせた。アメリカは決算書が透明で各金融機関はそんなに損失を隠していないから早く処理ができるんだ」というようなことを言っている部分がありました。
日本の大手金融機関と言えども監査法人の監査をきちんといたわけです。もちろんバブル崩壊後にそのような動き、つまり大手金融機関が損失を隠すというか損失の認識をどの時点でするかということについて柔軟な考え方を持っていたというか、あるいは大蔵省とどの程度損失を計上するかということを阿吽の呼吸をしながら決算書をつくっていた。会計士は蚊帳の外であったということは一つの常識的な世界でした。もう10年以上前の話です。そのようなことについて改めて世界中が注目しているバーナンキさんがはっきりと明言しているのを見て会計士の端くれとして大変つらい思いを感じました。
損失をはっきり認識し決算書が債務超過になれば、日本のバブル崩壊で今の会計水準では正しい数値をどんどん公表していれば、潰れるべき会社、潰れるべき銀行は潰れ、失業問題や金融不安など大きな損害が及び、日本経済に大打撃を与えたのでしょう。
しかし、逆に早く回復できたはずだということがなかば常識ではあります。
あの時に痛みを和らげるためにゆっくり損失処理することを選んだ、悪くいえば損失を隠し繰り延べたために逆に未だに日本経済は回復できず、従来の官僚統制の経済体制が強化され残っていることも事実だと思います。
バーナンキさんの証言を聞きながら大変悔しい思い、あるいはあの時こうだったらと思う気持ちがいっぱいです。