脱ドンブリ宣言
ある経営者の集まりに参加しました。企業を引き継いだ、いわゆる事業承継の実例報告とこれから会社を引き継ぐ後継者の方々の現状についての事例発表や意見交換会の場でした。
大変印象に残ったことは、どの方々も経理・財務に弱いということでした。
資金繰り表のことを異常に大切だと思っていたり、資金繰りのことを自分はできるのだろうかと恐れすぎている人もいる状況です。
多分知らないから怖がっているのでしょう。営業や技術、生産には自信があるのに、内向きの社内の仕事である経理や銀行との交渉等には後向きというか、わからない、知らないという人が多かったです。
事例発表された方も会社の経理の数字がよくわかっていないために大変な苦労をしたとのこと。
具体的には会社の数値と資金繰りの関係が実感としてわからないために大量の商品の仕入れがそのまま多額の支払いにつながるということが感覚的に理解できていなかったために資金繰りの関係から仕入れにストップをかけていく場面にストップをかけられなかった苦労話など色々な話がありました。
最後に皆さんが話しておられたのが「脱ドンブリ宣言」という言葉でした。ドンブリ勘定はやめようということでした。
予想外にびっくりしたのは、会社の数字・決算書を社長(つまり父親)から見せてもらっていない後継者の方がいるということです。私の想像では業績が相当厳しいのでしょう。だから父親も見せたがらない。あるいは業績がいいから見せたがらないのかもしれません。
いずれにしても、父親としては会社の数字について定期的に検討する場を会計事務所でも巻き込んでやっていくこと、それと資金繰りについて改めて研修すればいいのになと思いました。
そう言えば、経営計画を作る場面でほとんどの経営者の方が苦労しているのは、決算書の数字をもとに過去の実績を理解するということです。つまり計数を作る、それも手作業で作るとなると大変苦労されてらっしゃいます。
その会で使われていた「脱ドンブリ宣言」という言葉は大変印象的でしたし、事務所としては「脱ドンブリ宣言」を実のあるものにするためにお手伝いする必要があると改めて感じました。