①e-taxの準備を今事務所で進めています。
e-taxとは、簡単に言えば、インターネットを通じて法人税の申告書や所得税の申告書や納税など全てができるようにすることらしい。
「らしい」というのは、例えば法人税の申告だけでなく、税金の振替、即ち、自社の銀行預金口座から税務署へ納税手続きを行うということなどが全面的にできるということらしいのですが、ただ色々不便な点もあるようです。
特に地方税については、電子納税の整備ができている市町村とできていない市町村があるために、例えば従業員さんの地方税を給与から差し引いた場合にその納税について、ある市町村については振替納税ができるが、他の市町村については銀行に手続きに行かなければならないというような不便な点がまだ残っているようです。
新聞なんかでご存知かとは思いますが、このe-taxとはインターネットを通じて法人税・所得税・消費税の申告をするということがまず基本的な機能です。このe-taxは何年か前に導入されたのですが、実際にはほとんど使われていなかったために政治問題化しているとのことで、税務署当局が強くe-taxの利用を働きかけています。
そうは言っても、税務署が権限を持っているのは税理士会並びに税務署と仲良くやりたいと思って税務署と協力する企業です。
税金はどうせ払うのだから税務署と仲良くする必要はないと思っているような企業はもとからE-TAXのおすすめの対象ではなく、税務署と仲良くしよう、即ち、税務署関連団体である納税協会(?)などに所属されている企業についてe-taxをするように強い要望を税務当局がしています。
税理士会でもe-taxに全面協力するということになっていますので、私どもの事務所でも恐る恐る少しずつe-taxの準備を始めました。身分証明書になるカードを入手したり、そのカードを読みとるためのカードリーダーを買ったりする必要がありますので、いくらか数千円経費はかかるようです。
最近の動きを見て面白いなと思うのは、e-taxのおすすめは頻繁に行われているのですが、e-taxを行うことにより納税者側がどのようなメリットがあるかについての説明がありません。
大部分の企業にとっては、おそらく消費税のときと同じことになるのではないでしょうか。あのときは消費税をこれから計算して申告する義務が出ましたよという案内だけでした。
消費税を計算する手間暇やその準備が大変でした。
②会計事務所は儲かるか?
消費税のときもそうだったのですが、最終的には消費税の申告は会計事務所の方に相談することになりました。従って、会計事務所の方では消費税の申告に伴う業務が増えたわけですので、消費税の申告手数料という形で決算申告手数料が増加しました。
ということは、今回のe-taxについてもそれなりに申告定数料ということをお客様からもらえるはずなので、そのためにもe-taxで一体どの程度の料金を設定すればいいのかと考えるために今自分でやってみようと思ってやっているわけです。
なにしろ今まで紙で提出するものと比べて手間は一切減少しませんから。そういうとおかしなようですが、実は手間が減少するのは税務署に提出する法人税の申告書等の一部が電送できる、インターネットで送れるというだけです。基本的にはまだ電送できない、即ち、直接紙で郵送しなければならない書類もまだありますし、なにしろお客様に渡すデータも申告書一式としてインターネットで送りつけるわけにはいきません。お客様はコピーをとって銀行に見せなければいけませんし、また私どもの方でも控えをとる必要があります。従って、手間暇はe-taxをする分だけ確実に増えるわけですので、その分料金が上がることになります。一体いくらくらいがいいのだろうか。私が今まで色々と調べたところによると、法人税の申告書について概ね10万円、所得税申告書については概ね3万円程度今までの報酬より余分にもらえば電子申告ができるのではないかと思います。
③E-TAXのソフトの品質は?
実は、e-taxが広がらなかった理由についてはe-taxをするとどんなメリットがあるかのアピールが十分国民になされていなかった、もしくはe-taxをするメリットがないためだと一般に考えられます。
しかし、ある人の説によると、実はe-taxをすることが大変難しかったということがあるそうです。
実際に間で最後までE-TAXによる申告をやっていない私が言うのもおかしな話ですが、e-taxの研修会に行きますと、e-taxのために使っているソフト(E-TAXのソフトは国が無償で送付してくれます)そのものが某大企業が作ったもので大変使い勝手が悪いとの話でした。
ある会計事務所では、ひとつの法人税申告書を送るために8時間かかった(もちろん実際の決算業務そのものは含んでいません)という話で、女子社員が泣いて抗議したという話も聞きました。
また、e-taxをする手順もそのものも結構面倒なようです。予め税務署に届出を出して、さらにe-taxのCDか何か送られてきたものを入力して送るなど、実際に申告書を送ろうというときに紙で打ち出して税務署に持っていこうか、それともe-taxで電送しようかということをすぐにその場では決められない、かなり前からe-taxを使うということを言っておかなければならないという話でした。
来年の1月からはもっと簡単になりますということが言われているようです。しかし、来年の1月から簡単になるのであれば、さっさと簡単にすればよいはずなので、何故そうならないのか(税法を変えなければいけないのであれば4月からということになります)不思議です。
いずれにしても、どのようにe-taxのシステムがよくなるのか楽しみです。良くなってくれないとこちらが困ります。
いずれにしても会計事務所にとっては新しいビジネスのチャンスということで楽しみにしています。
ただ、これは噂話ですが、税理士事務所の平均年齢は60歳を超えているとのことで、コンピューターについてはアレルギーをお持ちの方も少なくない。このため税理士の先生がネックになってe-taxが進まないのではないかという話もあるようです。
ちなみに米国の例でいきますと、e-taxはまず一般個人の方が会計事務所を通さずに直接所得税の確定申告をするために広範囲に用いられた。会計事務所がe-taxを使うようになったのはかなり後になってからであると聞きました。
理由は、会計事務所が扱う所得税の確定申告書は相当複雑なケース、即ち、お金がもらえるノウハウ等を使って色々お金がもらえるような申告書であるため、その内容を十二分にチェック・吟味する必要がある。単に送付する手間暇が簡単になるというメリットよりも、お金をもらうためには従来通りの手作業で申告書を作っていった方が正確にできるという側面があったとのことです。
さて、e-tax、どの程度広がるのでしょうか。そしてどれぐらいが妥当なE-TAXの報酬になるのでしょうか。