ある講演会で聞いた話です。
「川上インフレ、川下デフレ」という言葉があります。
即ち、日本経済の現状が景気が良いのか悪いのか色々と意見があります。マスコミや統計上は景気がよくなっているが、私の周りでは、実感として景気がいいような気がしない人が多い。
経済統計的には川上、すなわち産業構造の川上にいるもの、つまり原材料加工(新日鐵などが典型的な事例です)はインフレが続いている、原料もインフレだし、従ってそれを製品価格に転嫁できる(主に中国に対する輸出などには容易に転嫁している)産業界では売り値が上がるわけですからそれ以上に売価を上げることができれば大変ハッピーである。従って、儲かっているし、景気が回復したという実感がある。
更に、その中流層、川中といいますか加工産業いわゆるメーカーにおいてはまあまあの経済状況になっています。
しかし、川下、小売においては、いわば日本国内が対象ですので、一般の消費者の消費が特に盛り上がっているわけではない。統計的に見ると、インフレ率はかなりプラスなのですが、消費者向けの小売の物価指数は横ばいもしくは更にマイナスぎみである。従って、景気の実感が悪いんだという話でした。
考えてみれば、川上産業は大企業が多いですし、川中の企業は大企業も中小企業も入り混じっています。川下企業は大手スーパーや百貨店など大きい企業もありますが、サービス業など中小企業が多く、消費がまだまだのところが多い。従って、大企業は景気回復感が実感としてあるだろうが、中小企業では景気回復の実感がないという統計が数値ともに一致しています。
なるほどなと思いました。