保証協会の料金とCRD
~ CRDで企業分析を! ~
信用保証協会の保証料の料率について、平成18年4月1日から信用度合いにより低くなったり(0.5%)高うなったりする(2.2%)とのことです。
東京都の信用保証協会のホームページに公表されています。
中小企業にとって、借入について保証協会の保証をつけてもらうということは、優良担保が少ない中小企業にとってはとても有り難い話です。それについては保証料という料金がかかる。これが、従来は統一されて一定(1.35%)だったものが、今度の4月から企業の安全性によって料率が変わるという話です。
各社への適用料率はどうやって決めるのかというと、中小企業庁が中心になって開発してきたCRD(中小企業信用リスク情報データベース)での財務格付+αで決めるとのことです。
ちなみに、このCRDそのものは公表されていませんし、融資を申し込むときも保証料はいくらとは事前にわからに仕組みのようです。
しかし、インターネットの中小企業基盤整備機構ホームページの経営自己診断システムという形でたぶん同様なものが開示されています。
そのポイントは自社の貸借対照表・損益計算書の主要なデータと同じ業種の中小企業庁が持っているデータとを比較し、その中央値(平均的な数字)を上回っているか、更に上位30%の数字になっているか、によって判断する。収益性、効率性、生産性、安全性、成長性を判断し、格付けに役立てるという話でした。なにせ、国のやることですから中小企業庁で集めている業種別の膨大な数のサンプルデータと比較するという形になっています。
保証協会は、県ごとに存在し、原則は無担保保証なら8000万円まで行う。有担保保証などの場合、中小企業については2億8000万円まで行うという制度であり、特殊な取扱い制度もOKという形になっています。ただし、本当にひどい経営状況であれば保証は行われませんが、その判断は政策的に甘いものがあります。
さて、それを今後どう利用していくかということですが、経営状況の良い会社は信用保証協会の保証料が安くなるという意味ではプラスのように見えます。しかし、実際には現在地方銀行は経営状況の良い中小企業に対しては積極的に貸したい、無担保で信用保証協会の保証なしで貸したいという動きをしています。従って、5年程度の運転資金の調達には銀行に対して保証協会の保証なし(保証がない分だけ実質的な金利が安い)を積極的に使うように頼んでみて下さい。うまくいけば、儲けものです。いざという時のため、即ち業績が悪化した時のために信用保証協会の無担保の一般保証を残しておくということは一つの見識であろうと考えます。
業績が悪化してきても信用保証協会の保証付きであれば融資します、という金融機関の対応があると考えられるためです。
ただし、いつかは決まっていませんが、将来は保証割合が100%ではなく80%の部分保証、即ち、金融機関もそれなり(20%部分)のリスクを被るという形に変わっていくものと予想されます。
いずれにしてもCRDで見たときに自社はどういう位置づけになるかということは一つの見方として知っておくことが必要と思われます。私どもでは今後の決算ごとにCRDによる経営分析データを添付して報告します。なにしろ融資の危険度について、赤、青、黄色の信号が出るのでなかなかの優れものだと思います。もちろん、平均点より悪ければ「警戒」というメッセージが示されます。
いずれにせよ、今年の4月から保証料が変わります。それとその保証料率査定のもとになる格付システムが一部(財務データのみ)公表されているということを知っておいていただきたいと思います。
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