「クリニックの医業収入分析と増患対策」研修に参加して
医業コンサルティング研修に参加しました。テーマは「クリニックの医業収入分析と増患対策」です。
まず具体的に言うと、レセプトを分析することにより現状どのような状況にあるのかということを見ていこうという話です。
見る患者としては、新患者率、患者数全体に対して初診という意味ではなく初めてこのクリニックに来たという人の比率を出す。また、月間延べ患者数もレセプトから算出していきます。他に、患者一人当たりの収入、延べ平均通院回数を出します。
一般的にクリニックは次の段階をとおると言われています。
創業期→成長期→成熟期→衰退期
成熟期が収益的に最も良い状況なわけです。
創業期は、創業して2~3年の状況。規模は小さいが新患者率が非常に高いため、その方々にリピーターになってもらうことにより毎年患者数が大幅に増えていく。これに患者一人当たりの収入がそれなりの数字であれば、売上高が増え、成長期に変わるわけです。
成長期は、新患比率はある程度高く、患者数は前年に比べ増加する。従って成長するわけです。この成長期をいかに続けるのかということがテーマのひとつになります。
成熟期、これは新患の比率は減ってくるが、この結果延べ患者数はほぼ横ばいである。ただし、規模としては一番大きくなっているため、収益的には最も良いという状況です。
衰退期とは、残念ながら新患比率が低く、前年比患者数が減って収入が減っていく状況と言えます。
成長期が長く続くためには患者サービスを見直すことが重要であると言えます。例えば、パーキングの広さ、待ち時間の短縮、待合室スペースの拡大、スタッフの人数増加に伴いクオリティが下がらないようにスタッフの行動のルール化などです。
成熟期の場合、新患者数は伸びませんが患者数は多い。マンネリにならないようにする。特に、ヒヤリとしたりハッとするような医療事故の防止に力を入れるべきであり、スタッフミーティングなどで医療事故を防ぐように努める。また、地域において重要な存在になっているので地域貢献、健康についてのメッセージを積極的に発信するようにするということを講師の方は言われていました。
衰退期の特徴は、新患者数が減り、且つ、延べ患者数が減っていくそうですが、逆に言えば医師の先生にとっては少し楽になっていく時期なのですが、このような状況は世代交代期にも現れる。ということは、老先生についていた患者が離れ、新しい若先生につく新患者が増えてこなければならない時期にもかかわらず、その世代交代がうまくいかないと新患者率が下がっていきます。従って、世代交代期にこのような状況になった場合には院長交代のアピールあるいは新しい経営陣のアピールに努めるべきであるというのが講師の方の話でした。
また、増患対策事例紹介の前にまず患者中心の医療という話が出ました。
厚生労働省の調査によると患者が医療機関で不満に思うことは、①待ち時間が長い②説明不足③態度が不親切である。これが3大不満とされています。
また、患者の立場からでは、院内ではなかなか発言しない、思ったことの3分の1も言わない、聞かれても言わない。しかし、満足したこと、不満なことなどはほぼ100%個人的な知人・友人に話をする。いわゆる口コミです。患者個人としては、医師やスタッフの方に自分のことをわかってほしいと願っています。また、患者はクリニックから薬局までをひとつの流れとして見ています。更に、今まで受診した他のクリニックと必ず比較しているという特徴があるそうです。
いわゆる販売ということで考えれば、次のように分けられます。
潜在患者、つまり、何かの機会があればクリニックに訪問する可能性のある方です。
そのような方々を見つけだし、何らかの理由で一度来院させ、来院患者にする。
そしてその来院患者を固定患者(リピーター)に変える。
更に信者患者、周囲の人に勧めて新患を増やしていく。
まず、潜在患者の方をどうやって行ってみたいという気持ちにさせるかということですが、これがなかなか難しい。潜在患者がいるかどうかを調べるのは診療兼調査です。しかし、潜在患者がいたとしてもどこに行くかを決めるのは患者ですからアピールする必要があります。ホームページで独自性・経営理念・院長の意思などをアピールすること、開院時に内覧会等を開くこと、また病院が連携をアピールしているので公民館等で説明会などを行うことなどがあげられると講師の方が言われていました。
実際どういうきっかけで初めて来院するのかということはよくわかりませんが、一般的には、口コミ、折込チラシ、駅看板、新聞雑誌あるいは近所なので医院の看板を見て、などがあるとされています。あるクリニックでは、問診票を初診の方に書いてもらうのですが、その中にさりげなく来院のきっかけの質問を折り込んでいるケースもあるという話でした。