現在は起業ブームです。日本の景気が振るわないのは、色々チャレンジする新起業家が少ないためだと日本の国自体が考えているため 会社をつくることを奨励しています。やっとのことで約10年前に株式会社の資本金は1000万円以上、有限会社の資本金が300万円以上と引き上げたのに、とりあえず資本金1円からでも会社をつくれるというふうに、わざわざ会社設立のルールを変えました。
はっきり言って資本金100万のできたての会社に何ができますか?
仕事柄よく見かけるのは会社をとりあえず作り 後必要な資金は個人の預金をだらだらつぎ込む。足らなくなれば個人保証付きで借り入れする。会社がうまくいくのが先か、つぶれるのが先かという話です。うまくいけば起業成功、失敗すれば。。。。。。。。
更には、ベンチャーで成功した会社、ホリエモンを始め、色々マスコミ等で六本木ヒルズ族として持ちあげられています。
また、大企業を中心に中高年齢層がリストラされ、再就職がしにくいという状況が生まれています。従って、起業ブームというものが起きています。
中学1年の頃、国の言うとおりに農業をやる(国が勧める農作物を作る)と必ずうまくいかないということを兼業農家の学校の先生が話しているのを聞いたときから、国が言うとおりにやるとうまくいかないんだという、いわゆる刷り込みみたいな考え方が私の考え方のなかにあります。みかんを作れと言われつくったが、うまくいかない。みんながつくったので過剰になり、みかんの値段が暴落したというような話だったと記憶していますが・・・。
この起業ブームにも同じようにリスクがあるのではないかと思っています。
たまたま『起業バカ』(渡辺仁著/光文社)という本を読みましたが、その中にも同じような話が色々載っていました。その本の中で面白かったのがサラリーマンの情報源は新聞等のマスコミであるという話でした。税法改正等の記事を読むとわかりますが、プロから見た新聞情報はほとんど当たらずと言えども遠からず程度の情報です。大きな流れを知るにはマスコミ情報は役に立ちます。しかし それだけで起業するのは難しいのでは。。。。
また中高年者起業はフランチャイズは多いとのこと。フランチャイズ・ビジネスは基本的には本部がまず先に儲かるという仕組みです。なかなか難しいものがあります。
そうは言っても起業ブームです。会計事務所等は、起業してすぐの会社には顧問がいないわけですから、その辺りを狙って起業したばかりの会社にアプローチするということがひとつの有力な営業手法として考えられています。私も18年前に開業したときにそういうことをちょっと考えたのですが、すぐに諦めました。開業したばかりの会社というのは、生き残ることさえも大変な状況です。このような中で外部の会計事務所などに払うお金があるわけがないと思い、さっさと諦めました。稀に、既に独り立ちした企業が別会社をつくることがあります。そのような会社にアプローチすることも考えましたが、やはり難しいようです。
私の場合は、さっさと諦めて、とりあえず開業した会社がある、その会社がそのまま潰れるケースも多いのですが、なんとか大きくなってくる会社がある。最初の頃に必要とされる会計事務所とは、要は帳簿をつけるのを手伝ってくれ、税務署に出す申告書をつくってくれる事務所である。そのような初期段階の会社では、税金の額も小さいし、それほど大きな仕事もない。そういう段階で差をつけるのは難しい。値段しかない。ある程度の規模になり、きちんと、かつ毎日帳簿をつけてす帳簿をつけないと会社運営に困るような問題が生じてくる。そうすると、経理処理等は自分でやるようになる。そこで初めて会計事務所に、いわゆる財務の相談とか税務と節税の矛盾とか経営的な視点からの財務の問題とかいうような相談したいというニーズが出てくる。従って、相談等のニーズが出てきた会社をお客様にしていこう、そのような会社のニーズに対応できる事務所にしていこうという方針でやってきました。今の起業ブームでもそのやり方が合うのかどうかはわかりませんが、私はそのようにやっていきたいと思っています。
話を起業ブームに戻しますが、紹介してくださる方がいらっしゃってお会いすることもありますが、本当に起業というのは大変だろうと思います。一番の問題はやはり売上です。いかにして売上を上げるかということが問題です。ところが、会計事務所が手伝いたくても売上を上げる手伝いは残念ながら私にはできません。せいぜい経費の節減、節減と言っても会社を設立したばかりのときはもともと節減しようがないほどお金が使えない状況ですから。
先日、或る事情があって、今は売上50億円、利益も億単位で出している会社の10年前に創業したときの帳簿を見る機会がありました。やはり細かな数字ばかりです。ちょっと会計事務所のお客様にはなれないのではないでしょうか。
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