私たち会計事務所には、毎年3月15日を期限とする所得税の確定申告シーズンというものがあります。
その時期は只でさえ忙しいのですが、私たち会計事務所には毎年税務署で確定申告にいらっしゃる個人の方々を応援するという仕事があります。これは、半ば強制的に行われています。もちろん、年末調整で払っている税金を医療費控除、住宅取得控除等で返してもらうために来られる納税者の方の申告書を作成するのが私どもの仕事です。税金を追加で支払う方たちは、税務署の職員が対応しています。そこで感じたことを紹介させていただきます。
1. 所得税の還付を受けたくて税務署にいらっしゃる方のほとんどが奥様方です。しかし、医療費控除、住宅取得控除等の還付制度そのものをご存じでない方が多いのです。所得税が還付されるとは、逆に言えば年末調整で所得税を払いすぎた人へ返すというのが建前です。従って、所得が少なくて年末調整で税金を払っていない人は、どんなに医療費があっても所得税は返ってきません。そのあたりの納得ができないという奥様方もよく見受けられました。
2. 給料の源泉徴収票を見ると色々なことが分かります。
上場企業の会社であっても意外に給料が安いと思うこともありますし、逆に公務員の方などは給料が高いと思うこともあります。これはただ年齢で比較して見ているだけなので、正しくないかも知れませんが。
3. 兼業農家の方の所得税の確定申告書を見させていただきました。
兼業農家とは、所得の大部分が不動産所得や給与という農業所得以外の所得が多い方です。 その方々の農業からの所得は予想外に赤字の人が多かった。逆に言えば、農業は趣味でしていると言われても仕方のない状況です。その原因は農業用の機械(トラクターや耕耘機等)の金額が高いからのようです。つまり、農業による収入の水準には不相応な高額な機械を持っているということでしょう。もしこのまま農業所得の赤字が続けば、兼業農家は将来的にはなくなっていくのではないでしょうか。
農業機械メーカーとしては一定の売上はどうしても維持したいからこうなったのでしょうか。
4. 社会保険料のほうが所得税より高い。
年末調整の源泉徴収票には社会保険料が記載されています。社会保険料よりも所得税が高いという人は、還付申請を行う人の中には見ることができませんでした。今、社会保険料が問題になっていますが、確かに一般の方々にとっては社会保険料のほうが切実な問題となっているのでしょう。
5. 株の配当所得の申告をする人が少ない。
低金利時代。銀行預金の利息の率よりも銀行の株式の配当金の率のほうが高いという形になっています。最近、株価も回復していますから去年は株の配当所得をもらった人が多いと思っていましたが、予想外に株式というのは一般の方は持たれていないようです。私としては、銀行預金の一部でも株を持っておきたいと思うところですけども・・・。
基本的には上場会社の受取配当金は申告しなくてもよい。しかし 所得の低い人は申告した方が有利な税制です。しっかり申告されるのは裕福そうな年金生活者の方ばかりでした。裕福だから税制に詳しいのか 税制に詳しい性格の人が裕福になるのかわかりませんが。。。。。。。。。。