中国で会社を経営している日本人の方の講演会を聞く機会がありました。
現在売上高48億円、従業員数は中国人を中心に900人くらいとのこと。
経営者の方に関係があるポイントだけお話します。
1.中国は典型的な人脈と賄賂社会であることを前提にすべきだ
2.会社は資本主義の日本の株式会社の発想で考えてはいけない。
基本的に3人(法定代表人、董事長、総経理)の役員がいる。このうち、法定代表人と董事長は兼任できる。法定代表人が会社の代表であるので、悪いことをして捕まる場合にはこの法定代表人がつかまることになる。
ところが、定款で法定代表人と董事長の権限をしばることが出来る。逆に総経理がすべての実権をもっているといっても良い。このため、董事長に政府の役人などの地位をもっている人を据え付けることにより政府からの色々な干渉を相当抑えることができる(万能ではない)
実質は、総経理を日本企業から出向させることにより、経営の実権を手放さずにすむ
3.会計事務所の選任について
会計事務所は日系事務所である必要はない。というよりも、日系事務所の費用は現地の会計人の費用の10倍以上高い、従って中国語か話せる人を置いておくのであれば、現地の会計事務所を使った方が良い。
弁護士は最低3人必要である。刑事事件に強い弁護士、債権債務の回収に強い弁護士、労務問題に強い弁護士である。
①従業員がお金を横領するのは常識である
横領しないと思う方がおかしい。従って、刑事事件の弁護士は絶対必要である。自分の会社では、預金現金については日本から送った日本人、及び日本から送った中国の留学生(待遇は日本人と完全に同じ)にしか任せていない。
②売掛債権については、本来の回収予定日より2ヶ月位遅れたらすぐ回収督促に入る。回収は中国の現地の営業マンにさせている。一定期間遅れた場合には、直ぐ弁護士により法的な債権回収を行う(内容証明でほとんど回収できる)。
売掛金の回収については、詳細な条件を決めて契約書を交わす。デポジットは当然要求する、前受金は当然要求する、とのことであった。
一般的には中国では売掛金(相手にとっては買掛金)を払わないのが常識であり、半年から1年位は平気で払わない。半年位契約期間より延ばしても回収手続きや法的手続きは行われないことが多い。自分の会社では、2ヶ月で債権回収を行っている。
③中国では国の政府機関が全ての預金口座を把握している。そのため、仮に債権回収に入って本当にお金を無い場合を除き、まず間違えなく売掛金は回収できる。
④中国人からの労務給与の引き上げ要求は、3ヶ月、半年おきに定期的に要求がくる。必ず賃金の引き上げに応じるが一律には絶対にしない。能力に応じて差をつける。賃金アップが少ない人に他の人は決して同調しないので、労働争議が起きることはない
4.関係政府機関との人脈構成は絶対必要である
その地区の人脈のトップとの関係(賄賂を含む)が必要だが、絶対ではない。時々、中央政府から指示が来るためである。
その他、色々と興味深い話が多かったが、特に中国で現実に商売をやっている会社の社長さん(元々中国の大学に留学していた若い社長さん)だけあって、極めて具体的で興味深かった。