誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講
ヨラム・バウマン (著), グレディ・クライン (著)
ミクロ経済学をイラストを用いることで、分りやすく説明しています。
ミクロ経済学の大きな問題を「個人にとっての最適化の結果が、集団全体にとってもよい
結果となるのはどんな場合?」とし、個人の意思決定における「サンクコスト」といったテーマから、
次に「ゲーム理論」など数人の戦略的な交渉の問題、そして最後に、「需要と供給」などの多数の
個人による競争市場におけるテーマへと話を進めていきます。
興味深かったテーマは次の2点です。
①逆選択-中古車の例
中古車には、掘り出し物もあるし、そして、ポンコツもある。
でも、買い手にその見分けはつかない。
一方、売り手たちは、自分の車が掘り出し物かポンコツかを知っている。
買い手はポンコツをつかまされるのが怖いから、売り手の言い値を飲まず、買値を下げる。
なかなか、売り手の思う価格で売れなくなる。
掘り出し物の所有者は市場から逃げる。
すると、買い手がポンコツをつかまされる確率はもっと高くなる。
「情報の非対称性」があると、良い取引ができない例。
②税の等価性-税金は誰が負担するのか?
まず、売り手に税金をかけるとする。
売り手は売上のなかから税金を払わねばならず、 取り分が減るため供給を減らす。
一方、買い手側の需要はかわらないので、価格が上昇する。
すると買い手の手出しは増え、税負担の一部は買い手に移動したことと同じである。
次に、買い手に税金をかけるとする。
買い手は税金分高く買わなねばならないので、需要を減らす。
一方、売り手側の供給はかわらないので、価格が下落する。
すると売り手の売上が下がるので、税負担の一部は売り手に移動したことと同じである。
つまり、法的な負担-つまり税金を納めるのは誰か?-は政治で決めるが、
経済学的な負担-最終的に税を負担する人はだれか?-は需要と供給できまる。
ミクロ経済学を勉強する入り口として、好い本だと思います。
(紹介者:嘉見)
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