事務所に中小企業倒産防止共済制度のパンフレットが事務所に届きました。中小企業倒産防止共済制度については、以前もご紹介したことがありますが、なかなか良い制度だと思いますので改めてご紹介させていただきます。
これは、得意先の倒産により、売掛金が焦げ付いたときにそれまで払っている時に緊急時に共済組合がお金を貸し付けますという制度です。つまり、中小企業としては大型の倒産にひっかかって貸倒れが出てしまった、貸倒の金額が大きければ大きいほど金融機関は二の足を踏みます。たとえそれまでその会社が健全経営であると見てくれていたとしても取引先の倒産により一度に大口の貸倒れが出たわけですから連鎖倒産する可能性があるという風に金融機関は注意しがちです。従って、危ない時ほど助けてほしい、新規の借入れが必要なのに銀行は審査を厳しくし、結果的に融資が受けられない。このために健全な会社まで潰れてしまう。これを連鎖倒産といいます。そのような時に中小企業倒産防止共済に加入している会社は過去に払い込んだ金額の10倍に相当する金額の融資を無担保で速やかに受けられるという制度です。
従って、この中小企業倒産防止共済に入るメリットがある会社は、現在健全経営が行われているが売掛金取引が多い企業で、将来のために何らかの保険に入っておきたい企業です。
具体的に仕組みを言いますと、月々8万円を払う、それも払込総額が320万円までです。これを払った時には経費として認められます。尚、40ヶ月後にもう会社として倒産防止共済に加入する必要性がないという状況になれば、解散すれば払い込んだ金額がそのまま返ってきます。(注:受取利息はつきません)
では、実際にお客さんが倒産して売掛金が貸倒れになったという場合、どういう風になるのか。その時は貸倒れ金額と払い込んだ10倍の金額のどちらか小さい方の金額が、中小企業倒産防止共済から無担保・無保証人で速やかに融資が受けられるということです。6ヶ月の据え置き期間をおいて5年後までに返済させる仕組みになっています。
利息はつかないとなっていますが、利息が付かないかわりに貸出金の10%の資金が本来40ヶ月後に解約した後は任意解約した場合は返済を受けられるのですが、その受けられる金額が減らされるという仕組みになっています。仮に、40ヶ月経って既に320万円払い込んでいる。2000万円の貸倒れが発生した。この場合、貸出を受けられるのは実際に発生した貸倒れ2000万円と払い込み済みの金額320万円の10倍3200万円のいずれか低い方ですから、2000万円の無担保・無保証人融資が受けられるということになります。ただし、その返済が終わったとしても本来帰ってくるはずだった320万円が200万円減らされて120万円しか帰ってこないこないことになりますので実際にはその部分が利息とみなされるわけです。実質的な貸出金利は4.8%となります。
まあ、今の金利水準から考えると高いのですが、万一のときに備えているという意味ではそれなりの良い金利のものだと思います。しかも、儲かっている今は経費として落ちるわけですから一種の節税的な意味合いもあります。今、景気は確かに上向いていると言われていますし、そのような感覚をお持ちのお客様も多いとは思いますが、今後の安心のためにも中小企業倒産防止共済制度を検討されてみてはいかがでしょうか。
ただし、この時の貸出が受けられるのはあくまでもお客様が倒産(民事再生法等を含む)した場合です。事実上の貸倒れ、つまりお客様が夜逃げしてしまった場合には対象にはなりますのでご注意ください。
健全な企業はこういう形で将来のリスクに対してなんらかの手が打てる。ところが、本当の意味で困っている今も苦しい会社は手が打てない。やはり日本の国の二極化というのは色々な形で進んでいくのでしょうか