現在の国会に提出されている民主党が決めた税制改正案のうち個人や中小企業に関係ありそうな事項です。
◇平成23年度より導入
◆扶養控除の縮小
平成22年以前 平成23年度より
15才未満 38万円 - ゼロ
16才-18才 63万円 - 38万円
19才-22才 63万円 - 63万円
23才-69才 38万円 - 38万円
70才以上 48万円 - 48万円
(同居老親加算) (+10万円) - (+10万円)
つまり、子ども手当の支給の対象となる世代は扶養控除が縮小されます。
中小企業税制
いわゆる「一人オーナー会社」の役員報酬の一部損金不算入制度の廃止
(平成22年4月1日以降 終業する事業年度より)
しかし、来年度(23年度)抜本的な税制改正の見直しのなかで、個人事業主よりも一般に中小企業のオーナーの方が有利である、という税制について抜本的な措置を講ずるといっております。要は、何らかの増税をするということです。
それ以外では、特に大きな改正はありません。従来からの税制からの基本的な延長中心になっております。
グループ法人税制の新設
最近では、親会社が子会社を持つというような企業グループが多くなっています。
今まで連結納税制度という形で親会社が100%子会社を持っている場合、それらの企業グループ全体の課税所得で法人税を納税しています。
即ち親会社の課税所得+子会社の課税所得=全体の納税所得 という形で納税する制度、連結納税制度があります。これは、選択制度です。即ち親会社が100%子会社を持っていたからといって、強制的に連結納税制度を選ぶ必要はありません。それぞれ別会社が税金を申告するという方式も認められています。
今度から100%の親子関係がある会社の間では、強制的に適用される項目が追加で導入されることになりました。グループ法人税制という名前です。
要は、100%親子会社であることを利用して、税金の節税を図ると言うことを禁止しようというのが目的の税制です。100%ではなく1%でも他人資本が入っていれば、実はこれを逃れることができますので逃れることは簡単なのですが、100%グループという時に株主を同じくする兄弟会社を含んでかなり広範囲に設定される見込みです。
連結納税制度 - 選択性
グループ法人税制 - 強制適用
グループ企業間取引については、今後より以上にタックスプランニングが重要となります。
節税策の禁止(又は目だたない増税策)のためのピンポイント改正
* 相続税関係
自宅用地の80%評価減の制限
自宅の敷地は相続税の評価上大幅に軽減されていますが、これに制限が設けられる
(例)240㎡ 更地評価 1億円の自宅の土地を相続する。
現在のルール 相続税評価
・同居していた妻が 1% 評価 20万円
・同居していない子が99% 評価 1980万円
今後(平成22年4月以降)
・同居していた妻が 1% 評価 20万円
・同居していない子が99% 評価 9900万円
従来は、妻が少しでも相続すれば、同居していない子が相続しても、大幅評価減が受けられましたが、今後は同居していた子だけが大幅評価減の対象になります。
* 年金保険の評価引き上げ
年金保険の評価方法の引き上げにより、相続対策として年金保険がつかえないようにする。(期限内は許されるので、かけこみで年金保険の加入をすすめている保険会社もあるとのこと)
* アパートを建てる人の消費税還付の封じ込め
以上3つの改正は、影響を受ける人の数は少ないのですが、このメリットを今後受けるつもりでいた人にとっては影響が大きいでしょう。
以上のような事が平成22年度税制改正の主な内容ですが、民主党がやりたいと思っていることが、税制改正大綱の具体的な話以外の方針とか考え方についての言葉遣いからある程度推測できます。
その中には次のような言葉がちりばめられています。
『格差拡大』『子どもは社会全体で責任を持って育てる』『社会保障」『税・共通の番号制度』『支えあい』『税制改革と社会保障制度改革』というような言葉です。
はっきりしているのは、少なくとも社会主義的な政策を採りたい、納税者背番号制度の導入を行う、また相続税については強化したいという様な考え方のようです。
これらの事を、今すぐはできないが来年度以降も検討し実行していくというような言葉遣いです。