今、世界の上場会社で一般的に使われている会計基準は3つあります。
欧州を中心とする国際会計基準、米国を中心とする米国会計基準、日本で使われている日本の会計基準です。
昔は、米国企業の経済力が圧倒的に強く、米国基準、すなわち米国の上場マーケットが大きいため米国基準で決算書を作成しなければ、米国のニューヨーク証券取引所に上場できませんでした。しかしながら、ユーロの導入をはじめとするEC経済の成長、また米国の上場基準があまりにも厳しい(内部統制など)ことによりロンドン市場が成長し、最近では国際企業は米国に上場するよりもヨーロッパのロンドン市場に上場するほうが増えてきているという流れ、即ち経済力の流れでヨーロッパで作った国際会計基準が勢力を増してきました。
そして、基本的には米国の市場もとりあえず欧州の国際会計基準でつくった決算書による上場を認めるということを明らかにし、さらには2011年からは米国の国際企業も国際会計基準を少なくとも大企業については採用するということを決めました。
このため、日本は日本経済の世界的シェアでの落ち込みを背景とし、ますます影が薄くなりました。
昔は日本の会計基準やその実際の適用の厳格性については緩やか(つまり企業の恣意性が入る余地が大きく 粉飾決算まがいの処理が許される)でした。
しかしここ10年間の努力が実り、日本の会計基準もそれほど劣っているものではなく、日本の会計基準で作成した決算書をもとに日本企業もヨーロッパの証券市場に上場できます。
しかし、米国、ヨーロッパというふうにとなると、日本も国際会計基準と日本の会計基準との違いを埋めていくこと(これをコンバージョンと呼んでいました)から、国際会計基準をそのまま採用する(アダプションといいます)という作業になりました。
国際会計基準は時価評価を中心としているなどと言われますが、例えば合併したときの営業権の取扱い、子会社を買収したときなどの連結決算調整勘定の取扱いなどが違っています。これからは日本企業は海外にも上場する会社は国際会計基準、日本国内で上場する会社は日本会計基準というふうに変わりそうです。
世界をまたにかけて活躍するような企業、すなわちM&Aを繰り返し、合併や会社分割などをやる会社にとっては国際会計基準の方が利益が大きく計上される傾向があるため、ますます拡がるでしょう。
基本は個別企業は日本基準で 連結は国際基準になりそうです。